モンスターに好かれるテイマーの僕は、チュトラリーになる！

◆147◆作戦失敗

　「僕、イラーノの所に行ってくる。ジーン達はここに居て」

　『了解』

　『私は、お供します』

　ルイユが、走り出す。

　連れて行く気はなかったけど走り出しちゃったし、僕も後に続く。獣道さえない場所を走る。いや歩く。

　なんとか見つからずに森から出た。そのまま街に入りマドラーユさんの家に向かい、ドアを叩く。

　「あら、また君なの？　どうぞ」

　どうしていつも誰が来たのかわかるか不思議なんだけど。

　「イラーノ。大事な話があるんだ」

　入るとイラーノは、ライトで手元を明るくしマドラーユさんが何かをしている。

　「後少しだからちょっと待ってもらえるかしら」

　こちらに振り向かずに、マドラーユさんが言った。

　うーん。どうしよう。

　あ、そうだ。

　「ねえ、ルイユ。僕、依頼のキャンセルに行ってくるから終わったら説明してもらっていい？　説明が終わったら先に行っていていいから。ジーンに一旦あの場所に連れて行ってもらっていい？」

　『わかったわ』

　小声でそう言うと、ルイユは頷てくれた。

　「イラーノ。僕、一旦冒険者ギルドに行ってくるからルイユの事を宜しく」

　「え？　わかった」

　不思議そうな顔をするも頷いた。

　僕は、冒険者ギルドに走った。歩くと30分程掛かる。往復で1時間だ。走れば短縮できる。

　ヘロヘロになってギルドに到着した僕は、そのままカウンターに直行。

　「すみません。どうしても用事が出来てこれ以上採取できないので、キャンセルお願いします」

　「え？　わかりました。では、装置に手を入れて下さい。これはどういたしますか？　買い取ります？」

　「いえ。渡して下さい」

　「いいんですか？　お金になりませんが」

　僕は頷く。処理が終わると、僕は走って冒険者ギルドを出た。

　イラーノを殺そうとしていると確定した訳じゃない。でも可能性があるなら離れた方がいい。

　《先に行っているわ。気を付けて来て》

　ルイユだ。イラーノにちゃんと話を付けてくれたみたい。

　僕は、真っ直ぐ門を目指す。

　そして、門を出た所で、森へ入るイラーノの姿が見えた。

　たぶんだけど。ここで大声を上げたらまだいるだろうモガードさん達に聞こえる。だから僕は、声を掛けずに森に入った。

　「あいつがイラーノです」

　微かに聞こえた声に僕は、ハッとする。

　見つかった！　しかもイラーノだと教えている事からあのエルフの二人もいるんだ。

　そっと近づくと、エルフのオスダルスさん達の後ろ姿が見える。ちょっと離れた所にモガードさん達もいた。

　この状況で、ジーンに乗って移動は無理か。

　でも彼らの本当の目的がわかるかも。って、単に会ってみたかっただけだったりして。

　「俺に何の用？」

　「あなたの父親の名を聞きたい」

　え？　ロドリゴさんの事を聞きたかったの？

　『主様……』

　ボソッと足元から聞こえ見ると、ルイユが傍に来ていた。

　「聞いてどうするのさ？」

　「ドドイと言わないか？」

　「え……」

　問われ驚くイラーノ。

　僕も驚いた。何で、ここで父さんの名前が。

　「この人達、何で父さんの事を探しているんだ」

　『主様の父ですか？』

　僕は、頷いた。

　「そんな名前じゃない！」

　「では、今どこにいるかご存知で？」

　「……知らない」

　少し考えてからイラーノは答えた。

　イラーノは、僕の父さんがドドイで、死んでいる事を知っている。だから死んだと伝えればいいけど、そうするとイラーノは父さんと繋がりがあると思われるかもしれない。

　答えはこれで合ってるけど、父さんの事を聞いたという事は疑っているんだよね？

　「嘘が下手だな」

　そう言ったのは、ボールウィンツさんだ。

　そして、オスダルスさんが指笛を拭いた。

　何の合図だろう。

　って、森の奥からモンスターが二体出て来た！