◇146◇ハーフだった!?
僕は、お昼を食べてから森へ戻った。
ジーン達が近づいて来る。という事は、辺りには人がいないって事だ。
「ルイユ、さっきはありがとう。で、ジーン、もう少し奥へ行きたいけどいい?」
『了解』
僕は、ジーンにまたがり森の奥へと行った。
昨日パンを食べた場所に腰を下ろす。
「あのさ、ルイユ。エルフの事を詳しく聞きたいんだけど」
『そうね。見てわかったと思うけど、あぁいう顔だちで耳が尖っているのよ』
「え? 耳? 気づかなかったなぁ」
尖っていたっけ?
『彼らは、マジックアイテムで人間に変装していたわ。耳にピアスしていたでしょう?』
僕は、思い出してみる。小さい石の様な物が両耳についていたような気がする。
「あれがピアス?」
『小さな石みたいのがピアス。エルフは、モンスターと話が出来る種族なのよ』
「え! でもあの人達、モンスターハンターって言う名が付いているみたいだよ。話せるのに殺してるの?」
『それは私に聞かれてもわからないわね。長い
「ルイユが知っている時代ってどんなの?」
『エルフも少ない種族だったけど人間の中で暮らしていたわ。あんなマジックアイテムを使っていなかった。隠すって事は、エルフだとばれたくないって事よね?』
「だろうね。今は伝説の種族みたいだけど……」
『主様は、エルフを探していたのではなかったの? あの二人ではだめなのかしら?』
「その事なんだけど。探しているのは、イラーノの父親なんだ。たぶんだけど、エルフじゃないかなって。もしかしたら人間かもしれないけど。ただ母親は亡くなっているから父親を探すしかなくて。後、僕の父さんもエルフと会っていたみたいで、そのエルフとも会いたいんだ」
『なるほどね。やっぱり訳アリだったのね。あの二人の前に出なくてよかったわ』
「え? どういう意味?」
『たぶん、彼らには私達はちゃんとモンスターに見えるって事よ。マジックアイテムも付けているのがバレルからそう言う事をした人物がいるって知れるって事よ。だから私達は出ていかなかったの』
そっか。なるほど。
だからテレパシーだったんだ。
「ありがとう。助かったよ。あの二人、どうやらイラーノを探しているみたいなんだ」
『森での会話は聞いていたわ。イラーノをエルフかもと思って会いたいと言っているのでしょうね。会ってどうするつもりかはわからないけど』
「うーん。やっぱりそうなのかな? 自分達の仲間を探し歩いているのかな?」
『さあ。どうかしらね。冒険者にまでなってする事でもない気もするけど』
確かにそうかも。
今のエルフは隠れ住んでいるとすれば、男だろうと冒険者にならないだろう。だとしたら冒険者になったって、エルフに会える確率は上がらない。
『もしかしたらエルフを探しているんじゃないかもしれないわね』
「え? どういう事?」
『イラーノは、人間よね?』
「うん」
『ではなぜ、父親がエルフかもって思ったのかしら?』
「え? あれ? あ、父さんがエルフと会っていたって言うからもしかしたらその人物がイラーノの父親かなって思ったんだ」
『それよ。人間とエルフのハーフ。人間に育てられていれば、冒険者になる可能性があるからかもね』
「それって、最初からイラーノを探していたって事!?」
『可能性の話よ。昔ならハーフはいたけど、今の状況を見るとよしとしないでしょうね。まあ、昔もよしとしてないエルフもいたけどね』
もしかしてイラーノは、人間の血が混ざっているから忌み嫌われているって事? しかも探し出して、殺そうとしているとか? じゃないと、わざわざ探さないよね。
もしこの仮説が正しいなら、見つかる前にこの街から出た方がいいかも。
「ねえ。イラーノの父親って殺されていないよね?」
『わかるわけないでしょう』
「だよね」
よく考えれば、名前すら知らない。
エルフを見つけて聞けば、教えて貰えると思っていた。
もしあの二人が、イラーノを探しているって聞いていなければ、こっちから声を掛けていたかも。
イラーノの父親を探すのは諦めた方がいいかも。
兎に角、この街を離れよう!
「イラーノに伝えて見つかる前に、この街を出る事にするよ」
『わかったわ』
『了解した』
またジーンにまたがり森の入口へ向かう。
『いるわ』
もう少しで出口付近と言う所で、ルイユが呟いた。
ジーンから降り、そっと歩く。居たのは、モガードさん達だ。
「戻ってなかったか。依頼の全部採取してないよな? ここに居れば会えるだろう」
モガードさんがそう言った。
そうだった。依頼まだ完了させていない。さて、どうしよう。
でも見つかったら僕から離れそうもないな。
僕は、木の影からモガードさん達の様子を見るも立ち去る気配はなかった。
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