◆103◆笑い出した彼が向けたのは憎悪の瞳
「さて、君の父親の事だが……」
そこで言葉を切って、僕をムダマンスが見つめる。
「私は、先ほどの場所がこの国にあると聞きつけて、よくこの国訪れていた。妻を病院に入れミーレンは知人に預け探した。だが、冒険者だと色々と条件があって、他国では稼ぎづらい。そこで私は思い切って商人になった。ミーレンを連れこの国で商売を始めたのだ。そしてある日、エルフを見たというモンスターに出会ったんだ。そこで君の父親の姿を見たと聞いて、君の父親を捜していたわけさ」
わけさって。
それじゃ、探している薬草がどうして、父さんが持っていると思っているかわからない。
捕まった男を始末したのは、ムダマンスで間違いない。口を封じた。その男達を使ってまで、僕から奪おうとしたのだから何かもっと手がかりがあったんだ。
「で、父さんが持っている物の話は? 姿を見かけただけなんだよね?」
「君の父親が、そのエルフと一緒にいたのを見ている。……この先が知りたいか? この先からは、まずはアイテムを見せてもらってからだな」
「え……」
「約束通り話した。そうだろう?」
そんな物、最初からない。
でも今の話が本当なら父さんは、エルフと会っていたって事になるけど……。本当に存在するんだエルフって。
「なるほどな。嘘を言わないでも話せる内容だな。だが、この話からだと、今までの行為をする必要があるとは思えないな」
ロドリゴさんが、話に割り込んで来た。
「男達を使い、クテュールを襲わせたり、その男達を口封じに殺したり」
「言いがかりだ。どこにそんな証拠が?」
「街を襲ったゴブリンリーダーは、今回と同じ鬼のモンスターのネックレスで枷をかけられていた。そして同じように斧も」
「ほう。そうなのか? そういえば斧は、ゴブリンがいる山で拾ったな。ないよりはと、持たせたまでだ」
そんな白の切り方って……。
「そうか。だがモンスターは、あなたと同じ色の髪をしていたと言っていたが?」
「彼から聞いたのか?」
「そうだよ。黒い髪って。僕は、森の中でミーレンの髪が黒く見えた。本当は、濃い紫色だった! モンスターって嘘つかないよね?」
『
サトンがそう言った。
やっぱりサトンに近づいたテイマーは、ムダマンスだった!
「本当に邪魔なサーペントだ」
「テイマーって一国に一人ぐらいの割合なんだってね。父さんと一緒に居たテイマーそして僕。三人目がいると思う?」
僕がそう言うと、ムダマンスが僕を睨む。
「あははは」
僕はギョッとした。だって笑い出しのは、ムダマンスじゃなくて、ロドリゴさんだから! 何故いきなり?
「そうだよな。思い出したよ! あの時は、混乱していたから……」
思い出したと言ったロドリゴさんは、憎悪を宿した瞳でムダマンスを睨んでいる!
一体、何を思い出したんだ!?
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