◆095◆あの時隠れていた男
「何故、こんな事をさせた! あの時も俺の為ではなくもしかして……」
「はぁ。本当に仲良くなっちゃうと面倒くさいな。さて、どうするか。ナットスは、引けと言っても聞かないよな?」
「どういう意味だ?」
あの時の事って何?
あの時の会話の事?
「ロドリゴさんに言ってない事?」
「へぇ」
僕がついボソッと呟くと、ミーレンさんがナットスさんを見た。ナットスさんもミーレンさんを見ていた。お互いが、僕に話したのかと思ったんだ。きっと。
「なるほど。今ので気がついちゃったって事か……」
ミーレンさんが、僕に言った。
今のでって? どれの事……あ……。
右手で自分で斬った左腕を抑えているエジンが目に入った。
エジンも何が起きているって言う顔で、ミーレンさんを見ている。
エジンに、僕が襲った事にすればいいと言ったはミーレンさん。それと同じ様な事があった? まさか……それをロドリゴさんに言っていない?
それを僕が気づける事と言えば、ナットスさんが怪我して戻って来た時の事だけだ。でもあれは、反撃を受けたって!
「え!? あれってナットスさん自身で傷つけた傷なの!?」
「………」
そう叫ぶもナットスさんは、何も答えない。目を伏せた。
そうという事なのかもしれないけど、何か変だ。その事をミーレンさんが知っていた事になる。
ナットスさんが、ミーレンさんには話していたって事?
それに、何の為にそんな事を?
「俺とナットスは、お前を騙していた」
「待て!」
「今更隠すのか? もう気づいているようだけど? 相手をワザと殺した! それを隠す為に自身で傷つけて反撃された事にした」
「え? 何言ってるんだ……」
ワザと殺したと言ったミーレンさんを驚いた顔でナットスさんが見ている。
違うの? どっち?
ミーレンさんの言う通りだと、ナットスさんはあいつらの仲間? 口封じで殺したって事になるけど……。何故それをミーレンさんに言うの?
「どういう事?」
「……何の話をしてるんだ?」
エジンは、僕にそう言ってきた。
悪いけど、エジンに構っている暇はない!
「答えてよ! ナットスさん!! 反撃されたから殺したんじゃないの? あの傷はワザと付けたの? 何故それをミーレンさんに話したの?」
「ちょっと待て! 反撃されたから殺したのは本当だ!」
「え?」
ナットスさんは、そう反論してちらっとミーレンさんを見た。
「あの男を殺したのは、ミーレンなんだ……。俺を助ける為に」
「え? 言っている意味が……」
ちょっと待てよ。あの場所にミーレンさんがいた? 何故?
僕は、ジーンを見る。
あの時、もう一人いるとジーンが言っていた。そのもう一人がミーレンさん!?
殺された男が僕達を襲っているのをずっと見ていた事になるんだけど!?
……そっか。ミーレンさんだったら納得だ!
つじつまがあう!!
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