◇094◇エジンのリベンジ

 「俺はリゼタと一緒に冒険が出来ると楽しみにしていた。けど実際は、お前と一緒に三人で冒険できるのが楽しみだと聞かされる毎日だった!」


 うん? 三人? 二人じゃないのか?


 「ちょっと待って! それってエジンも一緒じゃないか! どこが不満なの!?」


 「二人がいちゃつくところを毎日見ろと言うのか!」


 「いちゃつくって……」


 「現にいちゃついてただろうが!」


 「………」


 エジンにはそう見えたって事か。


 「どうしてそこで、振り向かせようとしないんだよ。僕がリゼタに興味ないの知ってるよね?」


 それでなぜ、いちゃつくって事になるんだか。


 「あぁ。だから余計に腹が立つ! 何もしないのになんでってな! でもリゼタの事は無理だとわかった」


 「え!?」


 用事って諦めたって言いに来たって言うのか? ここまで? ……いや、そんな事あるわけないよな。

 何故かエジンは、剣を抜いた。言っている事とやっている事が合ってないんだけど!

 僕達は、身構える。


 「だからお前を追放する事にした」


 「追放!? 何だよそれ! だいたい逆恨みだろう?」


 「そうだ。逆恨みだ!」


 それは認めるのかよ……。大丈夫かこいつ。

 何か変だ!


 「どうせ。俺が襲った事が事実となれば俺は終わりだ」


 「だろうね。まだ僕はあの時、冒険者じゃなかったんだから」


 「だからそうなる前に、お前を追放する!」


 そう言って、エジンは自分の左腕を剣で斬りつけた!

 そして、滴る血を剣の上に垂らす。


 「な、何をしてるんだよ……」


 意味わかんない!

 どういうつもり?


 「筋書きはこうだ。ここに俺が案内してやったけど、争いになりお前はモンスターで襲わせ殺そうとする。俺は、命からがら逃げだした」


 「はぁ? そんな筋書き通りになると思って……」


 「エジン!」


 エジンを呼ぶ声が聞こえ振り向けば、エジンに走り寄るナットスさんが現れた!

 え? ナットスさんがエジンを連れて来たの?

 どうして? どうやって!?


 「何をしているんだ! その提案は、誰の入れ知恵だ!」


 そう言ってナットスさんは、エジンが握る剣を奪い取った。

 あれ? ナットスさんが連れて来たんじゃないの?

 入れ知恵? そうだよね。エジンがこんな事を思いつくはずがない!


 「ミーレンだな?」


 その問いに、エジンはびくっとする。

 ミーレンさんって何故!?


 「君達が一緒に街を出たのを見てついて来た」


 「あぁ。何で邪魔するかな?」


 そう言って今度は、ミーレンさんが姿を現した!

 一体何がどうなって?

 エジンとミーレンさんが結託?

 あれ? 結託しているのってミーレンさんとナットスさんじゃなかったの?


 「それにしてもこんな場所があったなんてな。これ全て回収出来れば、かなりの金になるな」


 「ミーレン……お前」


 平然としているミーレンに、ナットスさんは驚きを隠せない様子だった。

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