◆067◆やっぱり現実で

 話を聞き終えた僕は、寝ると言ってロドリゴさんの部屋を出た。

 流石に眠い。


 「あ、おかえり」


 「ただいま……」


 部屋に戻ると、イラーノさんが元気にお出迎え。けど、眠くて元気に返せない。


 「あれ? リュックは?」


 「え……あ……」


 そういえば、森から直にギルドに戻って来たから家に置きっぱなしで戻ってきちゃった。

 まあいいや。もう眠いし。


 「ねえ、朝ごはんは……って、もう」


 僕が、何も答えずに布団にもぐったので、イラーノさんは少し怒ったみたい。もういいや……。


 ロドリゴさんには、釘を刺されたけど、父さんが殺された理由ぐらいは知りたいな。その為にはやっぱり、強くならないとダメだ……よね……。

 僕は、眠気に勝てなかった。



 ◆ ◇ ◇ ◇ ◆ ◆ ◇ ◇ ◇ ◆ ◆ ◇ ◇ ◇ ◆



 ――起きなさい!


 何か、煩い……。


 「もう昼過ぎだってば! クテュール起きなさい!」


 誰かが僕を揺さぶっている?

 目を開けると、リゼタの顔が見えた。

 うん? あれ? 僕、夢見ていたのか?


 「もう、勝手に帰っちゃうし! 何でわざわざこっちに戻って寝てるのよ! おばさん心配していたわよ!」


 あ、ここ。ギルドの部屋だ。

 じゃ、夢じゃなかった!


 「あ、おはよう」


 「おはようって、お前。もう昼過ぎだって!」


 エジンもいたのか……。まあ、当たり前か。


 「はい。これ」


 ベットから降りると、リゼタが僕が家に忘れて来たリュックを目の前に出した。それは、膨らんでいる。

 中身が入ってる?


 「おばさんが、色々入れてくれていたわよ」


 「ありがとう」


 僕は、リュックを受け取ると、中を覗き込んだ。

 何だこれ。僕は手を突っ込んで引っ張り出すと、布がいっぱい出て来た……。


 「なんだよそれ」


 エジンが、不思議そうに聞いた。


 「うーん。布?」


 「なんで、布?」


 「さー? あ、奥にちゃんと服も入ってる」


 あ、そっか。この服と一緒にしまってあった布だ!


 「裁縫出来る様に入れてくれたのかも」


 「おばさん、冒険者を何だと思ってるんだ?」


 「もしかして、副業? それまだ出来ないからね」


 後ろからのぞき込んだイラーノさんが言った。

 いや流石に、この布で作った物を売ろうとは思わないよ。

 でも折角だから何か作るかな。


 「起きたみたいだな」


 部屋を覗きに来たのは、新人教育のナットスさんだ。


 「お腹はすいてないか? 昼食べてから行くか?」


 「うん? どこへ?」


 「あれ? 聞いてないか? 君達は暫く俺と行動を共にする事になった。だから勝手に街の外にはでないように」


 「あ、そう言えばさっき、ギルドマスターが来てた。寝てるって伝えたら後で来るって帰って行ったけど。用事それだったんだね」


 ナットスさんの説明に、イラーノさんは思い出したとロドリゴさんが来た事を伝えてくれた。

 狙われているから仕方がないか。

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