◇068◇緊急事態発生
「よかった。まだいた!」
走って来た様で、慌てた様子のダイドさんが、僕達を見て安堵した。
「何かあったのですか?」
「あぁ、モンスターが攻めて来た!」
ナットスさんの質問に、思いもよらない返事を返され、皆は僕を見た。
襲わせるわけないだろう!!
「お前、まさか……」
「いや、襲ってきたのは、森とは反対側の山のゴブリン達だ! 怒り狂っているみたいなんだ!」
疑いの眼差しでエジンが僕を見ていたけど、ダイドさんが違うと言ってくれた。
反対側の山には、ゴブリンが住んでいたんだ……。
で、ゴブリンって?
「あの~? ゴブリンって? モンスター?」
「え? ゴブリンを知らないの?」
僕が聞くと、イラーノさんに凄く驚かれた。
やっぱり普通は、知っているものらしい。
「お前、冒険者なら知らない奴はいないぜ。見たことがなくても、名前ぐらいは知っている!」
と、エジンに馬鹿にされた!
僕は冒険者になる予定じゃなかったから!
「ゴブリンとは、団体で生活している二足歩行のモンスターだ。あまり人間は襲わないのだが、リーダーがいる様で集団で事を起こす。鉱山の奥に住んでいて、滅多に降りて来ないんだが……一体、何があったのか」
ナットスさんが、僕に説明してくれた。
本来なら大人しいモンスターみたいだけど、集団で襲って来たって事?
って、まさか僕が狙いとかないよね? タイミングが良すぎる!
でも襲わせるとして、どうやって襲わせるんだ? そんな事が可能なのか?
もしかして、テイマーがまだいたとか!?
でも、そんな集団を従わせる事って出来るもんなのかな?
って、普通のテイマーは、どうやって従わせているんだろう?
きっと、僕とはやり方違うよね……。枷をかけるとか言っていたし。
「街の人達は、レッドアイの森側に集める事になっている。つまり、ここの目の前の広場だ。お前達もナットスと一緒に避難。いいな」
僕達は、頷いた。
そして、ぞろぞろと広場へ向かう。
そこには、街の住民達がもう既に集まっていた。皆不安げだ。
「今までこんな事は、なかったのにな……」
「大丈夫かしら」
「結界があるんだろう?」
やっぱり異常事態みたい。
『
うん? え?! リリン!
って、助けてって何?
驚いていると、ぴょーんと僕の胸にジャンプしてきた!
『
「ちょっと待って!」
小声で言って、リリンの口を塞いだ。
リリンに気が付いた人達が、驚いてこっちを見ている!
やばい!
僕は、隠れる為走り出すと、ナットスさんが驚いて叫ぶ。
「勝手な行動はするな!」
「すぐ、戻ります!」
僕はそう言って、物陰まで走った。
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