◇050◇約束と違うだろう!

 採取は順調に終わり、薬草を届けてお金も貰った。僕が合わせて2,000Zで、二人が残りを分け合い1,600Z程ずつ貰っている。

 おかしい。半分なら2,600Z貰えるはずなのに、2,000Zあればいいだろうって! なんでさ!

 えー! って言ってみたけど二人に無視された!

 もう絶対二人とは組まない! って、これが最後でよかったよ!


 「明日も宜しくな!」


 「宜しくね」


 「今日だけって言っただろう!」


 エジンまで何言ってるんだ!

 カウンターで、仕事の完了を終わらせると二人は言い出した。よく考えれば、経験値も何もせずに貰っている感じだ!

 まあこれは、増えたからどうって事はないけど、何かずるい!


 「お前さ、冷たくないか!?」


 「はあ? よく言えるよね! その台詞!」


 僕がエジンに言い返すと、ガシッとリゼタが僕の右腕にしがみついた!

 やめてくれ! また命を狙われる!


 「だぁ、もう離せよ! いちいちくっつくな!」


 「あらぁ? 照れちゃって」


 「別に照れてない! なんでいちいちくっつくんだよ!」


 リゼタはニヤニヤして言うが、エジンの方は目が吊り上がっている。って、リゼタもエジンの態度に気づけよ!


 「調子に乗るなよ!」


 「なんだよそれ!」


 エジンに何でそんな風に言われなくちゃいけないんだよ! ってエジンも何でリゼタがいいんだ! 確かに胸は大きいかもしれないが、ずうずうしいし、お姉さんぶるしそれに騒がしい!

 僕は、一生懸命リゼタをはがそうとする。


 「もう! 抱き着くなら……」


 「お前達!」


 カウンターの前で騒いでいると、横の扉がガバッと開いた。そこから出て来たのは、僕達の教育担当のナットスさんだ。

 パッとリゼタは僕を離した。


 「騒ぐなら建物の外へ行け!」


 ビシッと玄関を指さされ、僕達は口ごもる。

 はぁ……。

 もう部屋に戻ろう。疲れた。

 僕は、ナットスさんが出て来た扉から中へ入る。


 「ちょっと、どこ行くのよ。お昼は?」


 「いらない。僕は部屋で休むよ」


 リゼタにそう返し、僕は部屋に向かった。

 どうせ昼ご飯にしても中途半端な時間だ。それにまた、同じ所で食べるだろうから夕飯もそこになるだろうし。

 もうどこか探さないと飽きるよ。


 「クテュール!」


 と、僕を呼び止める声に歩みを止めた。呼び止めたのは、エジンでもリゼタでもなかった。振り向けば、ギルドマスターのロドリゴさんが立っている。


 「アンチュールさんが倒れたと連絡が来た。直ぐに家に戻れ」


 「え!? わかりました! ありがとうございます!」


 母さんが倒れた!

 僕が冒険者になったから……!

 あのまま、置いてきちゃったからだ!

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