第115話:神様との対話
沢山の透明な石が光り輝く祭壇を前にし、ライツと愛那の歩みが止まる。
「ここは、ルザハーツ家の者のみが神との対話を許された場所なんだ」
そのライツの言葉にハッと愛那が反応する。
真っ直ぐ祭壇を見ているライツの横顔を見上げ、愛那は訊ねた。
「対話? 神様と話が出来るんですか?」
「いや、たとえば婚約や結婚、出産などの報告。祈りや願い、悩みなどがある時にここで話を聞いていただくんだ。稀に神託が下ることもあると伝え聞いたことはあるけれど、俺は一度もないな」
(・・・・・・だとしたら、ライツ様はいつ私のことを?)
ライツが救世主である愛那の保護者だというのは、神様が決めたことだと言っていたはずだ。初めて会った時、まだ名乗っていないのに愛那の名前も知っていた。
愛那はそのことも気になったが、それよりも今は先に知りたいことがあったので、そちらの質問を優先させた。
「あの、その神様との対話というのは、声に出して言わなくては通じないんでしょうか?」
「え? いや。声に出さなくても、心の中で語りかければいいんだよ」
「じゃあ、あの、私・・・・・・神様にどうしても言いたいことがあるので、その対話というのがしたいんですが、ここは駄目ですよね? 神様と対話の出来る他の場所を教えて欲しいんですが、近くにありますか?」
(話をしようじゃないの、神様と。もしかしたら返事をしてくれるかもしれないんでしょう?)
気持ち戦闘モードの愛那の真剣な眼差しを受け止め、ライツが戸惑いを見せる。
その後方で愛那が神様に喧嘩を売りたいと言っていたことを知っているモランとナチェルが、ハラハラとした表情で見守っている。
「マナが望むのなら、ここで大丈夫だよ?」
「え? でもここはルザハーツ家の方だけの場所なのでしょう? 遠慮します。せめてリオルート様の許可をもらわないと、ライツ様にご迷惑をかけたくありませんし・・・・・・」
「私なら構わないよ」
突然入り口の方から声をかけられた。
振り向くとそこにはリオルートの姿。
「兄さん? 何故ここに?」
「ハリアスが奥方を連れて戻ってきたから、呼びに来たんだ」
弟の問いに微笑を浮かべたリオルートがそう答えた。
。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます