第77話:一番に知りたいこと



「初代国王の魔力量はこの世界の人間に比べかなり大きなものだった。だからその血を受け継いでいる王族の魔力も大きい。時が流れてその血も薄まり小さくなってきているとも云われているが、それでも現時点では平均より大きいのは確かだ」

「ライツ様も?」

 ライツが頷く。

「俺の父はルザハーツ家に婿入りした現国王の弟だから、父と兄もかなり大きい魔力を持っている。俺もこの大きな魔力量を生かし、ここ数年魔物討伐に時間を割いてきたが・・・・・・。すまない、マナ」

「え?」

「長い間、魔物被害の報告を受け続け、王は初代国王が禁止した異世界召喚を決めた。俺を含めたこの世界の者たちの力が足りず、結果マナを巻き込んだ」

「ライツ様・・・・・・」

「王と神官長には反省を促してきた。特にレディルは君にひどい言動をしたことを謝罪したいと言っていた」

「謝罪? あの人が?」

(神様の決めた運命の相手になんか、会いたくないのに)

「昨日のことをすぐに許す必要はない。だからマナをルザハーツ領へ連れて行く許可をもらってきた」

(あ、よかった)

 レディルに会わずにすんでホッとする愛那。

 そんな愛那を見つめながら、ライツはずっと不思議に思っていたことを口に出した。

「マナ。・・・・・・マナはどうして、訊かないんだ?」

「え?」

「知っていて訊かないのか。知らなくて訊かないのか。マナの立場なら、一番に知りたいことだと思っていたんだが」

「・・・・・・一番に?」

 首を傾げる愛那にライツは真面目な顔で頷き、意を決してそれを口に出した。

「元の世界に、戻れるのかどうか」



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