第49話:可愛い17歳の女の子
早朝、ハリアスと共に登城するライツの姿があった。
救世主の捜索を任されていたライツ。
愛那を保護したことは、昨日の内に国王へと使いを出し報告していた。
そして、詳しい話は明日自ら報告に上がると伝えていたのだ。
内密の話となるため二人が案内されたのは、昨日ライツと国王が使った応接室という名の密談部屋だ。
「来たか、ライツ! 昨日は無事保護したという知らせをきいて、どれほど安心したか! 流石だな。よくやった! それで? 救世主様はどちらに?」
部屋に入ってきたライツを一目見て、国王は挨拶抜きでそう訊いてきた。
先触れを出していたので、すでに部屋の中には国王と王太子、神官長が待ち構えていた。
座ったままの三人に対し、ライツは立ったまま答える。
「我がルザハーツの屋敷の別邸です」
「何故連れて来なかった!?」
「城には行きたくないそうです。何故か、などと、訊かないで下さいよ?」
笑顔なのに目が笑っていないライツ。
心当たりのありすぎる三人はそっと目をそらす。
「・・・・・・城には行きたくない、ですか。困りましたね」
神官長が頭を押さえ言うと、国王がライツへと再び問う。
「救世主様は・・・・・・あの少女は、どんな方なのだ? 昨日、どうやってこの城から消えていなくなった?」
「どんな? と訊かれれば、名をマナという、可愛い、17歳の女の子ですよ」
〝可愛い〟のところで、ライツはレディルを冷たい目で見て言った。
「どうやってこの城から抜けだしたのかまではわかりません」
嘘である。
愛那が持つ、透過のスキルのことを、ライツはこの三人にも教えるつもりはなかった。
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