第36話:うわああん! 嘘つき!
ライツのエスコートで愛那は馬車へと乗り込む。
愛那の正面にライツが座ると、馬車が走り出した。
ハリアスとモランは乗馬で馬車の後ろからついてくる。
「じゃあ、マナ。いいかな?」
「は、はい」
透過魔法を解く。
(あれ? そういえばどうやって解けばいいんだろう?)
今更だが初めてのことなので戸惑う愛那。
(えっと、たしか消える時は、透明になれって念じてたら出来たんだよね)
だとしたら逆のことを念じればいいだろうと愛那は頷く。
「よし! じゃあ、いきます!」
気合いをいれる愛那に、ライツは一つ頷き固唾を呑んで見守る。
愛那は自分の両手を見つめながら呪文のように繰り返す。
(元に戻~れ。元に戻~れ。元に戻~れ・・・・・・)
すると、透明だった愛那の体が徐々に姿を現し始めた。
成功だと愛那が笑顔になったその時、突然「待ってくれ!」とライツが叫んだ。
「え?」
愛那が顔を上げるとライツが顔を背け腕で両目を隠している姿が目に入った。
「すまないマナ! もう一度透明に戻ってくれ!」
(・・・・・・え? 何で?)
どうしてと思いながらも愛那は言われた通りに透明に戻る。
(・・・・・・何? もしかして、そんなに? ・・・・・・ひ、ひどいッ!)
「うわああん! 嘘つき!」
「え? マ、マナ?」
感情を爆発させて声を上げたマナにライツが焦る。
「普通なの! 普通だもん! 私の顔そんな一目で嫌がられるほど酷くないもん!」
「は? いや! 違う! 誤解だ!!」
「はっ、異世界だから? そうなの? この世界ではそんなに私の顔ダメなの? 酷いの? だからあの王子もあんな・・・・・・!」
「待て! 落ち着け! いや、落ち着いてくれ、マナ」
「落ち着けないぃ・・・・・・」
ショック過ぎて泣き声になっている。
「本当に違うんだ! ・・・・・・そうじゃなくて、足が・・・・・・」
心底困った声音でライツが言うと、愛那が首を傾げた。
「足?」
「何でそんなに足の露出の多い服を着てるんだマナ・・・・・・」
「・・・・・・ん?」
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