第35話:わー。騎士だー! 騎士様だー。



 噴水広場を出た大通りに馬車が待機していた。

 ライツと愛那がそこに足を止める。

 するとハリアスとモランが二人の前へと姿を見せた。

「マナ、さっき話した俺の側近だ」

(さっき話したってことは、私が透明人間になれることを知ってる二人ね)

「は、初めまして」

 愛那が丁寧なお辞儀をして挨拶するが、もちろんその姿は見えない。

 二人は戸惑いながらも、それを顔に出さずに挨拶を返す。

「初めまして救世主様。私の名前はハリアス・ドーバーと申します」

「モラン・ローレンです」

 モランはライツと同じくらいの体型をしている。

 ハリアスは二人よりもしっかりした体格で背も高い。

 三人共に鍛錬された肉体を持っていることが見て取れる。

(わー。騎士だー! 騎士様だー。かっこいいなー)

 上等なマントを羽織り、腰には立派な剣。

 アニメや漫画で見た騎士の姿をした二人に、テンションの上がる愛那。

「私の名前は里上愛那です! あ、愛那の方が名前なので、マナ・サトウエって言った方がいいのかな・・・・・・」

 姿は見えないが、その声がとても可愛らしい少女のものだったので、ハリアスとモランが笑顔になる。

「よろしくお願いします。マナ様」  

 ハリアスにそう言われた愛那は思わず顔を赤くする。

(マ、マナ様・・・・・・)



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