第14話:【索敵】使って探してます



 城を出たライツはスキルの【索敵】を使い、行方不明中の【運命の恋人】を探していた。

 ライツから少し離れて後ろを歩いているのは、彼の側近である25歳のハリアス・ドーバー伯爵と、子爵家次男、19歳のモラン・ローレン。

 ライツの【鑑定】スキルのことを知るのは側近の中ではこの二名のみである。

 この周辺の地図がライツの目の前に表示されている。

【索敵】によるもので、ライツにしか見えていない。

 地図の中で点滅している赤いハートマーク。

 これが【運命の恋人】がいる現在地なのだろう。

 ちなみに魔物の場合は黒い正方形のマーク。

 人間は白の三角のマークで表示される。

「驚きました。本当に誰にも見つからずに城内から出ていたんですね」

「異世界から召還された救世主様だ。どんな能力が使われたのか、想像が出来ないな」

 モランとハリアスの会話がライツにも届く。

(確かに。【鑑定】がそうだったように、異世界から来た救世主の持つスキルは、この世界にはないスキルの可能性が高い。この【索敵】のお陰で居場所がつかめそうだが、無事につかまえて連れて戻ることが可能だろうか?)

 こちらの都合で勝手に異世界へと召喚をしておいて、怒らせるようなことをした王やレディルが全面的に悪いのだから、城に戻りたくないと言われたら、戻らなくてもいいだろう。

(ずっと探していた俺の【運命の恋人】が、まさか異世界にいたとは・・・・・・)

 とにかく、その少女が望むことは何でも叶えてあげたいとライツは思う。

(おそらく、一番の望みは叶えてあげられないのだから・・・・・・)



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