第16話 センサ=ライン



 何か地上に戻るための装置がないかと弄っていると、何かしらのシステムを起動してしまった様だ。


『始祖ユミィアの血族を承認。センサ=ラインへの扉を開きます』


 そんなような合成音声が流れて、周囲一体が光に包まれ始めた。


 内容についてはよく分からない。

 始祖とかユミィアとか?

 聞いた事が無い。

 センサ=ラインという場所についても。


 目を開けてられないほどの光が満ちて、思わず目をつぶってしまう。


「うおっ、何だこれ!」

「きゃあっ、一体なによ!」

「貴方達一体何をしたので……、きゃあっ!」


 キャロとクオンの悲鳴を聞きつつ、申し訳なく思いながら、ことの成り行きを確かめようと、わずかに瞼を持ち上げる。


 ……空間がゆがんでいく?


 奇妙な光景はすぐに閃光に塗りつぶされる。


 周囲は、やがて眩しい光に包まれていった。


 次に目を開けた時には何もかも景色が変わっていた。






 目の前にあるのは本。本。本。


 大量の本が棚に並んでいた。

 視線を右へ左へ向けても同じ。


 ………ここは、図書館? なんだろうか。


 ぼうっとしていると、俺達の目の前にどこからともなく少女が現れた。


 愛らしい顔立ちをした少女だ。

 歳は十歳前後。


「ようこそ、無限図書館へ。私は知恵の番人だ。ユミィアの血族とその他二名。歓迎するよ」


 響く声は、幼げな声。

 しかし、どこか知性を感じさせる響きが含まれていた。


 表面的な年齢どおりではないな、と感じた。


「お前は……?」


 俺は、相手の顔をみつめる。


「おやおや、人に名前を尋ねる時はまずは自分からって、親御さんから教わらなかったのかい? まあいいさ。久々の客人だ。大目に見よう。僕の名前はそうだね、コスモス。コスモスと呼んでくれたまえ。ま、本名じゃないから気軽にね」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る