第5話 戦闘
のんびり歩いているとさっそく敵のお出ましだ。
気配を感じたと思ったら、前方から蝕が現れた。
平原ウルフ。
形状は普通の動物だけど、濃い黒や紫の霧をまとっている。
俺はすぐにキャロへ声をかけた。
「キャロ!」
キャロはすぐに返事をした。
もう町を出た時から警戒態勢に入っている。
俺達は、すぐに敵をみすえて行動した。
「分かったわ」
戦うための道具を手にする。
キャロは、すぐに支援の準備に。
彼女は深く息を吸い込み、そして発声。
「a――」
キャロの細い喉から、透き通った音が発生。
すぐに人間の声を加工したような音が周囲に響き渡った。
それは、キャロの喉にとりつけられている、人工の機械……水晶声帯が出しているのだ。
しかし、そうしている彼女は無防備だ。
誰かが守ってやらなければならない。
その役目は、俺の役目だ。
「限定領域、
そして俺は、持参した箱型の機械を宙に放って、特殊な磁場を周囲に満たす。
付近にいる人間のイメージをくみ取り実体化させるという機械だ。
オルゴールと言う名前の、機術箱。
俺の思考を読み取った機械は、瞬時に剣と銃があわさった巨大なソードガンを形成。
「かかってこい! 俺が相手だ! キャロには指一方ふれさせやしない!」
取っ手を掴んだ俺は、現れた蝕へ切りかかった。
「でやぁぁぁ!」
「グギャアア!!」
手ごたえは十分だ。
力まかせにきりさいた一撃が相手を真っ二つにした。
どうやらあまり力が強くない個体だったらしい。
目の前の敵は一撃で斬りふせられた。が、また同じような個体が現れたところだった。
二匹目も、と考えた所でキャロが魔法を発動させる。
空気の質が変化するような感覚だ。
うまく言葉に表せないけれど、周辺の空気に力が満ちたという感じがする。
俺は、背後を確認する事なく、その場から飛び退った。
「ライトニングコール」
その場に出現した無数の光のつぶてが、蝕へと向かっていく。
狙いは百発百中。
吸い込まれるように、相手へ降り注いだ。
「グギャアアア!」
蝕は無数の穴をあけて、その場で力尽きていった。
相変わらずすごい威力だ。
何度も見る力だけど、彼女のような存在がこの世界で重要視さえているのがよく分かった。
振り返って、キャロに手を振る。
「さすがだな」
駆け寄って来たキャロが手をあげて、俺のそれに合わせてきた。
ぱんっ、と軽快な音が鳴り響く。
「そっちこそね」
当然の戦果、と言う顔で胸を張るキャロン。
彼女のその力は精神面の影響が大きい力だけれど、最近ではずっと安定して敵を撃破していた。
へたをすると暴走して、他人を巻き込みかねない力だったりもするが、俺はそんな心配をしていなかった。
キャロは、彼女は……弱い所もあるけれど、結局最後には誰よりも一番強い女の子だから。
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