ぐはっ! それはイヤすぎる!!

「ねえ、パパ。動画とかネットにアップしちゃダメ…?」


ある日、パパにそんなことを訊いてみた。


「なんで?」って訊き返すパパに、


「よっしーがね。私らも動画作ってアップしたりってどうかなって言うの」


と正直に話す。話は単純。今言った通り。よっしーが動画をアップしてみたいって言うんだ。私も興味はないわけじゃなかったし、友達と一緒ならって思っちゃったんだよね。だけどパパは言った。


「う~ん。やってもいいけど、自分の顔とか名前とか自分が誰か特定できるようなことは一切出さないことと、誰かを傷付けたり迷惑かけたりということはしないっていうのを守れるのならっていうのが最低条件かな」


だって。


「そうか~、やっぱりね~」


まあ、さすがにこういうのはすんなり「オッケー!」とはいかないと思ってたけど、その通りだったな~。しかもパパが続けて言ったのが、


「そうだよ。自分がどこの誰か分かるような情報出してストーカーとかされたり、誰かを傷付けたり迷惑かけたりして炎上とかして嫌な思いしたりってなったら、お父さんも守り切れないし」


ってことだった。


「だよね~」


パパは頭ごなしに『ダメだ!』とは言わない。どうしてやりたいならやってもいいと言ってくれると思う。だけど何かをする時にはちゃんといろんな困ったこととかも起こるかもっていうのは分かってないとマズいとは言ってくれるんだ。


最近、動画再生回数を稼ごうとして無茶なことをしたり他人に迷惑かけたりする人がいるらしいってのは私も知ってる。実際、『何やってんのこの人、恥ずかしい…!』って思っちゃうのとかもいっぱいある。それで<炎上>とかしちゃってるのも知ってる。中にはホントに<事件>になるのもあるのも知ってる。


パパは、それを心配してくれてるんだ。私がイヤな目に遭わないようにって。頭ごなしに『ダメ!』って言わないから、余計にそれが分かるんだよね。


よっしーは自分のお父さんお母さんにそんなこと言ったら頭ごなしに『ダメだ!』って言われるのが分かってるからやる時は黙ってやるって言ってた。でもうちはそうじゃないんだ。


不思議だよね。頭ごなしに『ダメだ!』って言われるよっしーはやる気だし、でも私はパパからそんなふうに言われないけどやらないんだ。


『やってもいいけど』と言いながら、


「全然知らない人がうちに押し掛けてきたリしたらどうする?」


って訊かれると、


「ぐはっ! それはイヤすぎる!!」


と思っちゃうのも本音だよね~。


せっかくのパパと私のこの楽しい毎日がメチャクチャにされるのはイヤだ!


だったら動画とかアップするのもいらないかな~って思えるんだ。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る