勉強、面白いと思うけどな~
「うお~っ、オデノカダダハボドボドダ~ッ!!」
そう言えば夏休みが終わる一週間ほど前、よっしーがそんなことを言いだしたのを思い出した。
「なになに、どしたの? よっしー」
驚いて訊き返すと、よっしーが拳を握りしめて力説する。
「オカンが塾に行けって言うんだよ! 今のままじゃオヤジみたいになるぞって! 今でもゲームで忙しいのにこの上塾に行けとか、鬼畜過ぎるだろ~!」
……はい?
「いや、それ普通にゲーム控えたらいいんじゃないかって話だと思うけど?]
「え~? それじゃみっちゃんもゲーム控えろって言われたら控えられるのかよ~!」
「あ、それはムリ」
「だろ~? だから何とかなんねーかな~!」
「じゃあ、うちで勉強する?」
「う~ん、それもな~」
「要するに勉強がしたくないだけじゃん」
「そ~だよ、わりーかよ」
「勉強、面白いと思うけどな~」
「それがわっかんね~んだよ!」
「私はママがいっぱい遊んでくれたからな~。勉強で」
「勉強で遊ぶとか意味分かんね。ってか、みっちゃんのお母さん、みっちゃんが六歳の死んでるんだろ? よく覚えてられるな。私、小学校に上がる前のことなんて、全然覚えてねーぞ」
「だからじゃないかな~。それで余計に記憶に残ってるのかも。逆に、ママのこと以外は確かに覚えてないし」
「そっか…ごめん」
「ううん、だいじょ~ぶ。それに、私と一緒に勉強してた時のママがね。すっごく笑ってたの。私、その時のママが一番好き。ママが面白く勉強させてくれてたの。今の塾の先生も楽しく勉強させてくれるから好き。それで言ったら、確かに学校の勉強はちょっと退屈な時もあるかな。あの感じでずっと勉強してたら私もあんまり楽しいとは思えなかったかも」
「そうそう、そういうことだよ」
「じゃあ、マリーとかも呼んでみんなで一緒に勉強しようよ。楽しいよ」
「むむむ…そうなのかなあ……」
「そういえば、夏休みの宿題は終わってるの? あと一週間しかないよ」
「ぎゃ~っ! 言わないでぇ~っ!!」
「とりあえず、明日から宿題しようよ。手伝ってあげるからさ。集中したら三日で終わるよ。夏休みの宿題くらい」
そう言って次の日から、マリーも呼んで三人で勉強した。実はこの時私もまだ自由課題終わってなかったんだけど、それ以外はちゃんと終わってた。だからよっしーとマリーにもすっきりとした気分で新学期を迎えてほしかったんだ。
マリーはだいたい終わってたから一日で全部終わらせた。
でも実は、よっしーとマリーは先に自由課題を終わらせてたんだよね。
夏休み工作キットで。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます