そういうのを止めちゃうんだろうな~
「美智果~、美智果も一応は女の子なんだから髪の毛ぐらい自分でといたらどうよ~」
朝、トーストかじりながらゲームしてた私に、パパがそう言ってきた。
「え~? メンドくさ~い」
っていつも通りに返事しておく。
私、おしゃれとか興味ないし。動きやすくてちょっとくらい汚れても気にならない格好が好き。おしゃれで可愛い可愛いしてる女の子しか評価しないヤローなんてこっちから願い下げ。『ただしイケメンに限る』とか言ってる卑屈男とかそれこそ論外。『内面を見てもらえない』って、卑屈なこと言ってる時点でその内面がそもそもダメじゃん。
パパはね、見た目もイケメンじゃないしグダグダだけど、ママのことも私のこともちゃんと大切にしてくれるから、ママに次いで二番目に好きなんだよ。誰かに大切にされたかったら、自分から他人を大切にしなよ。
それくらいのこともしないで『自分は誰からも認めてもらえない』とか、どんだけ甘えたいんだよ。
な~んて、パパの受け売りだけどさ。
でも分かってるよ。私だってパパに甘えてるもん。ちゃんと甘えさせてくれる人がいなかったから満足できなくて大人になりきれないんだよね。
でもさ、自分のパパやママがそうさせてくれなかったのは、他人のせいじゃないよ。他人に八つ当たりしたって意味ないよ。だから私は他人に八つ当たりしようとか思わないんだ。
って、パパが教えてくれた。
よっしーやマリーは、そんな私のことを友達だと思ってくれるから私も友達だと思える。大切にしようと思える。
よっしーもマリーも、自分のパパやママに不満があるけど私と一緒にいるとホッとするから大丈夫って言ってくれる。
だけど、リンちゃんはムリ。彼女は私を目の仇にしてるから。
パパもね、私と私の友達以外は大切にできないって言ってた。わざと意地悪とかはしないけど、私のことを大切にできるみたいには大切にできないって言ってた。人間だからって。
『世界中の人を大切にしましょう』なんてムリなんだって。
でもね、自分の近くにいる何人かだけなら大切にできるって。ママとか、私とか、私の友達とか。
人間だからその程度でいいってパパは言ってた。
私にはまだ難しい話だけど、なんとな~くは分かる気もするんだ。だってさ、パパがママと私と私の友達を大切にしてくれるのと同じで、私がパパと友達を大切にできたら、私の友達が友達のパパやママや他の友達のことも大切にできたら、それがどんどん広がっていくじゃん。
パパが言いたいのはそういうことなんじゃないかな。
でもそこで、『自分だけが大切にされたい。他の奴のこととか大切にできない』っていう人がそういうのを止めちゃうんだろうな~。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます