パパがいるから、怖くないよ
「ただいま~」
学校から帰ったら、まずママに今日、学校であったこととかを報告する。
「ねえねえママ! 今日はねぇ…!」
でも私の前にいるのは、大きな人形。パパがお仕事で扱ってる商品の一つなんだって。自分が扱ってる商品がどんなのかっていうのをよく知る為に買ったって言ってた。
その人形が、ママがいつも座ってた定位置に座ってる。私はそれを「ママ」って呼んでるんだ。
だからって別に私の頭がおかしいとか思わないでよ? 私だって分かってるよ。それがただの人形でママじゃないことくらい。だいたい、その人形、ちゃんと服着てるんだよ? ホントのママはいつもマッパだったよ。
私のはっきりと覚えてるママは病院のベッドの上だったけど、家で楽しくやってた時のママがマッパだったのもうっすら覚えてるんだ。そんな時のママはゲラゲラ笑う豪快な人だったのも、ちょっとだけど覚えてる。
でもさ、<私の中にいるママ>とお話しするにはちょうどいいんだ。こうやって「ママ」って呼べるのがいると。
ママと話すのが終わると、今日は塾があるから行ってくる。月曜日と木曜日。小学校に上がった頃からずっと行ってる。もうすぐ中学校の勉強も終わって高校のになるかな。英語と数学が好き。国語はちょっと苦手。
一時間半ほどで塾から帰ってくると今度は学校の宿題。ホントは学校で終わらして帰りたいんだけど、学校でするのは禁止されてる。家でするから意味があるんだって。よく分かんないけどそうらしい。
私は宿題とかは先にさっさと終わらせたい派。だって、宿題終わらせたら後は完全に好きにしていいってパパが言ってくれてるも~ん。
で、PC起動して、今一番のお気に入りのゲームを始める。
「きゃ~! ほたる~ん!! カワイイよほたる~ん!!
ぎゃ~っ! 刀装が剥げた~! 何してくれてるんじゃボケ~! 〇ね〇ねぶっ〇せ~!!」
私はいつも居間にいる。自分の部屋はない。空いてる部屋はあるけど一人でいるのが怖いから、いつもパパと一緒に居間にいる。パパも居間で仕事してる。
パパのお仕事はネットショップの経営。さっきも言った大きなお人形を扱ってる。<球体間接人形>って言うんだって。要するに大きな着せ替え人形なのかな。
だからいつもパパは私と一緒にいてくれる。そして、仕事が終わったら、私のところに来てお膝をしてくれる。
パパのお膝はあったかくてすごく安心する。夜でもぜんぜん怖くない。
パパがいるから、怖くないよ。一人ではいられないけど、困ったことはぜんぜんないよ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます