アリスが悪いの……


 でもベリーダンスは何故……少し不満が渦巻くのを否定できません。


 アナスタシアさんが、

「イシュタル様、そうご不満を漏らさずに、私がストリップを踊って差し上げますから」

 あぁ、皇女が壊れています。


「アナスタシアさんも、その踊りの名前は忘れましょう、仮にもキリーの施政権を持つ身ですよ」


 それもこれも、アリスさんのせいですね。

 私は忘れませんよ、復讐するは我にあり、です。


 ひと段落がつきましたので、私の部屋へアリスを引きずっていきました。

「さあ、アリスさん、私の部屋を荒らしている理由を聞きましょう。その前にここでお尻をぶちましょうか?」


「お姉さまのことがもっと知りたかったの!」

「私、小雪と違って子供にされているの、だからお姉さまにあまり可愛がってもらってない!」


「お姉さまのお姉さまにもいわれたわ、私だけいつも除け者!」

「だからお姉さまのことをもっと知り、役に立ち可愛がってもらおうと……」

 アリスさんが泣き出しました。


 アナスタシアさんが、泣き声を聞きつけ、駆けつけてきました、完全に私が悪者です。

「イシュタル様!こんな幼いアリスさんに、なにをしたのですか!」


「アリスさん、泣かないで、悪いイシュタル様ね。後で私が文句をいって上げます、さあ涙を拭いて」

 アナスタシアさんに、睨みつけられました。


 私の方が泣きたくなります。


「お姉さまは悪くないの、アリスが悪いの……」

 アリスさん……


 たしかにアリスさんを幼いとして、心を踏みにじったのかもしれません。

 そう考えた時、


 !


 閃きました。


「アリスさん、貴女を除け者になんかしていませんよ。今度の一座でも、アリスさんのことは考えているつもりです」


「貴女には、最後に歌を歌ってもらおうと考えていました」

「実はアリスさんにピッタリの歌があるのです。私の世界での名曲です、この歌を練習してください」


 歌の名は、虹の彼方に、オーバー・ザ・レインボー

 そうミュージカル映画『オズの魔法使』でジュディ・ガーランドが歌った歌。


 この歌は十四歳の子が歌うには、あまりに大人びていると、お蔵入りになりかけた歌。

 でも、アリスさんは十四歳でも大人、この歌はアリスさんしか歌えないはず。


 生きる喜び、この素晴らしき世界を歌う歌を、一座の最後に歌ってほしいと思います。

 人々の顔に輝きがあらんことを願って、黒の巫女のメッセージとして。


 でも、アリスさん。

 私はアリスさんを私の膝にのせて、かわいいお尻を剥きだして、軽く二回ほどたたくのは忘れませんでした。


「お姉さまの鬼!」


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