魔法の練習


 マリーが待っていますと、ダフネが皆をつれてきて、亡霊の館に6人がそろいました。


 小雪が、

「お話は伺いました、魔法の練習がてら修理するのですね」

 ダフネが、

「そうですが、ここには未使用の部屋が沢山ありますので、私たちの個人部屋も一つ賜ってはと考えています。そして巫女様のお部屋を皆で作ろうと思いますが、いかがでしょう」


 サリーが、

「今のお嬢様の部屋は、イシュタルの部屋と繋がっています。いわばジャバ王国との通路になっています」


「ここは限られてはいますが、男性が出入りするので、私たちのお嬢様のこと、夜のことも考慮すると、よろしくないと考えます」


「確かにダフネさんの云う通り、この際、皆が必要と思われる部屋を作るのには賛成です」


 ダフネはアポロに向かって、

「多少の調度品については、協力していただけますか?」

 アポロが

「イシュタル女王の離宮ということで、宮廷費より捻出できると思います」


「もしできましたら、アナスタシア様の公的な部屋も、何とかしていただければ助かります」

「イシュタル様がご不在の時に、アナスタシア様がこの町の施政を総攬するのが、建前になっていますので」


「アポロ執政の許可もおりました、まずは私と小雪がやって見せます。その後、皆を指導いたします、それでは始めますか」

 ダフネと小雪が、各々の部屋を魔法で修理していきます。


「まず魔法の基である、マナを意識してそれを把握し、それを補修する部分へ、移動するように意識します」

「貴女たちはパスポートキー登録者なので、古代の大魔道師レベル、容易に認識できるはずです」

「補修部分へ意識を集中し、『復元』と唱えると発動します」


 ダフネと小雪の魔法の講義を聞きながら、皆は手本を食い入るように眺めている。


 小雪が、

「私たちはマスターと時を同じくする者、皆それなりの理由で、所持前の人生はあまりいいものではなかったはず、私などは人生さえありません」


「私たちはマスターをお守りし、お側に仕えることが生きがいです、そのため、魔法になれることは必要なことです」

 皆が頷きます。


「では始めませんか?」


 そんなことを、キリーで行っているとは露知らず、私はリリータウンでアリスさんとチェスをしています。


 アリスさんが、「お姉さま、強すぎ」といいますが、私は元天才数学者、アンドロイドの小娘ごときには負けません。

 完膚無き敗北を、アリスさんにプレゼントしてあげましょう。


「おやアリスさん、白旗ですか?」

 アリスさんが「うう?」と唸っている時、またダフネさんがやってきました。


「ダフネさん、会議は終わりましたか?」と聞きますと、

「意外に時間がかかりましたが、巫女様にお出まし願いたいと思いまして」と、私を誘います。

 私はアリスさんとともに、ダフネさんについて行きました。


 キリーで私の目にしたものは……


「皆さんがされたのですか?私のためにといわれましたね?」

 私はテンションが上がっていくのが、自分でもわかります、なにか目から塩水が出そうです。


「嬉しいです、ありがとう……」

 私は皆さん一人一人に抱きついて、キスなどをマシンガンのようにしました。

 アポロさんに、ここにはベッド、あそこにはテーブルなど子供のようにおねだりしてしまいました。


 そのあと、私はアナスタシアさんに手伝ってもらって、皆さんに心をこめて料理をふるまいました。


 女王と皇女の手作りですよ。


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