夜襲
「だいたい貴様のような冒険者風情がゴブリン共を追い払ったというのが勘違いだ。奴らはあくまで我ら騎士団の威容に驚き、逃げ出していったのだ。貴様はたまたま魔術を使うタイミングが良かっただけだろう。それを勘違いしてもらっては困る」
なんだよこいつ。
めちゃくちゃ絡んでくるな。
これならユースケの方が、まだマシだ。
「どうした、黙り込んで。認めたという事か?」
「あー、はいはい。そうですねー」
「なんだその返事は! これだから冒険者風情は……」
どうしろってんだよもう。
その時、広場に傷だらけの男が駆け込んできた。
「た、大変だ! ゴブリン共の襲撃だ!! あいつら夜襲をかけてきやがった! 南門は落ちた!! 街中にゴブリンが侵入してるぞ!!」
「なにっ!?」
そこからは宴会場は大騒ぎだった。
すぐさま南に駆けていく者。
酔っ払いに水をぶっ掛ける者。
装備を取りに行く者。
何が起こったか気付かず、酒を飲み続ける者。
あちこちで怒声が飛び交い、人が入り乱れる。
おれは、水属性の初級魔術でユースケに水をぶっ掛けた。
「いつまで吐いている。緊急事態だ。ゴブリンが街中に侵入したらしい。すぐに迎撃に行くぞ」
「うぅ……気持ち悪い……」
「はぁ……。仕方ないな。
光属性の中級魔術、
「おぉ! 気持ち悪くない! サンキュー、アル!」
「感謝の言葉は後で聞く! ユースケ、装備は整っているか?」
「あぁ。アルに言われてたからな。もしもの時の為に装備は完璧だ! すぐにでも動けるぜ!」
「よし! 南門へ急ぐぞ!」
「了解!」
おれとユースケは南門へ向けて走った。
途中、ゴブリンが民間人を襲うのを見つけては、斬り殺しながら。
だが、あと少しで門へ着くという所で、そいつと出会った。
「ユースケ! 危ない!」
「え? ゴフッ……」
一瞬、月明かりに銀色の物が反射したのを見た瞬間、ユースケが首を斬られた。
「ユースケ!!」
辺りを警戒しつつ、ユースケに駆け寄る。
喉笛を斬られており、血が溢れ出している。
「くそっ!」
おれは慌ててポーションを取り出し、傷口に振りかけていく。
それと並行して治癒魔法を使うのも忘れない。
「
ポーションの効果と合わさって、パックリ開いていた傷口が、逆再生でも見るかのように塞がっていく。
その瞬間、おれは振り向きざまに剣を横に振るった。
「ギギ、ギャ……」
するとそこには、短剣でおれの剣を防ぐ、黒ずくめの小柄な影がいた。
「ゴブリンアサシンか……」
やっかいだな。
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