魔力
魔法使いは生まれながらにして魔法使いだ。
おれの場合は幼い頃、誰もいないのに周りの物が浮いたり、おれ自身寝ているときベッドから浮いたりしていて、それを見た両親が旅の魔法使いに相談して自分に魔法の才があると分かった。
魔法の才ある者が古代語の意味を理解し、魔法で起こしたい現象とその意味を持つ古代語を紐づけて、正しく発音することで魔法は発動する。
この時、古代語の文脈が正しく事細かく指定してあった方が体力の消費すくなく発動するが、古代語が起こす現象をより深く理解、つまり"水"という古代語なら"水"というものを正しく深く理解しておけば、一単語でも複雑な魔法が使える。
たとえば"水"という単語一つで、敵の内臓を爆破させたり出来る。
これは人間の体には多くの水が含まれていると知っているからだ。
それを知らない魔法使いが"水"の古代語を使っても魔法は発動せず、体力をいたずらに消費するだけに終わる。
もちろん魔除けの魔法を使われていたら、おれでも失敗するか、より多くの体力を消費して魔除けを突破するしかないが。
魔法とは攻撃するより防ぐ方が簡単だからな。
話を戻そう。
魔法使いかそうでないかは、魔法が使えるかどうか分かれていたが、魔術はそれぞれ属性の適正という形で使える魔術が決まるようだ。
適性は一人につき一属性だけ。つまり適性ある魔術を極めたのが魔術師ということだな。
稀に二つの属性を持つ者もいるそうだが。
適性がない魔術は生活魔法と初級魔術まで。適性がある魔術は本人の努力と魔力量しだいらしい。
ここで新たなワードが出てきた。
"魔力"だ。
どうやら体力を消費して発動する魔法と違い、魔術は魔力なるものを使用するらしい。
使えば使うほど気だるげになって、限界を超えて使うと死んでしまう魔法と違って、魔術に使用する魔力なるものは限界ギリギリまで使用しても特に体に異変はなく、限界を超えると使用できなくなり、自然回復するのを待つしかないらしい。
自分の力を見誤って、下手すれば一度の魔法で命を失う可能性のある魔法とは違って、危険性がないところもこの世界に魔術が普及している一因だろう。
魔力量はそれぞれ生まれた時から違い、魔力量が多いものが魔術師になる傾向があるそうだ。
あくまで傾向であり、"魔物"なる野生の動物とは違う生き物を殺すことで微々たる量だが体力や力、魔力量は増えていくらしい。
属性、適性、魔力ときて次は魔物ときた。
話を聞くに悪魔のように思えたが違うらしい。
この世界の悪魔とは魔物の一種で、魔物とは体内に魔石という器官(?)がある生物のことだそうだ。
非常に凶暴で人間を見たら襲ってくるらしい。
どうやらおれは物騒な世界に転生してしまったらしい。
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