幼馴染は美少女だけど付き合いたくない!
yuzuhiro
第1話 振られても好きな人
「好きなの!彼女にして!」
中学の卒業式、私はずっと片思いしている
中学最後のこのチャンスを逃したくなかった、この後第二ボタンもねだるつもりだ。
ドキドキして反応を待っているが、彼は素知らぬふりでその場を後にしようと踵を返す。
「ちょ、ちょっとちょっとそうちゃん!流石にスルーはないでしょ!乙女が中学の卒業式に勇気を出して告白してるんだよ!」
「うん、新鮮味もないし。向こうでお前待ちの奴らの標的にされても敵わんから。」
こうして私の記念すべき10回目の告白も敗退という結果に終わった。
♢♢♢♢♢
「ねぇ、そうちゃん。高校では一緒のクラスになれるといいね。」
新しい季節を迎え、私達は真新しい制服に身を包みマンションのエントランスを抜けようとしていた。
「いいか
そうちゃんは真っ直ぐ前を見ながら真剣な顔つきで注意してきた。
わかってる。
わかりたくないけどわかってる。
中学時代、彼女でもない私がそうちゃんにベタベタしたせいで、いろんな人からやっかみだったり、誹謗中傷の言葉をそうちゃんが受けていたことを人伝てに聞いている。
実際にその現場に居合わせたこともある。
「・・・善処します。」
「はぁ〜。大体なんで一緒の高校なんだよ。俺は誰にも教えてなかったんだぞ。バレないように願書だってギリギリに出したのに。偶然にしては出来過ぎだろ。」
うん。そうだね。
私がどれだけ聞いても教えてくれなかったね。
そうちゃんの仲良かった子に聞いて回ったけどみんな知らなかったね。
でもね。そこはね・・・
「幼馴染の特権です。翔子さんに口止めしてたみたいだけど、みんな私の味方だよ?実の娘みたいに応援してくれてるもん。」
そう、流石にそうちゃんも両親にまでは隠しておくことが出来なかった。
もちろん正攻法で攻めてはいない。
大人の飲み物が大好きだけど弱い翔子さんに少しだけ多めに飲んでもらっただけだから。
「もう今更どうしようもないよ。諦めて一緒に高校生活楽しもうよ。ね、学校帰りに制服デートしたり、図書館で一緒に勉強デートしたり、屋上で一緒にお弁当食べたり、体育倉庫で2人閉じ込められちゃとたり。」
あ、だめだ。いろいろ想像するとニヤニヤが止まらない。
想像しながらバス停に向かって歩いてると、隣にいたはずのそうちゃんがいない。
「あ、あれ?そうちゃん?」
周りをキョロキョロ見渡していると、少し前方に自転車に乗っているそうちゃんがいた。
「え?ちょ、ちょっとそうちゃん!なんで自転車なのよ!」
時すでに遅し。
そうちゃんの姿は小さくなり、やがて見えなくなってしまった。
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