第2話 つまらない想い

俺の名前は寿ことぶき春姫はるき。高校二年生、17歳。部活は剣道部兼弓道部。2つの武道を兼部していて、練習に集中できるのか。と思うかもしれないが―俺は特殊だ。

親が弓道場を経営していることもあり、練習はやり放題。そして、教える人も親。親は弓道七段である。弓道をやっている人は、絶対に知っている親である。

そして、剣道。

物心がついた時から俺は剣道をやっていた。

師匠の元で小学の6年間、中学の3年間。合わせて9年間お世話になっている。もちろん、今でもたまにお世話になっている。そんなある日、師匠から一般の人も参加する大会に参加しないかとのことで。正直、学校の奴らは弱すぎてなにも練習にならない。でも、一般の部に混ざってやっても、全然楽しくなかった。

もう1つの弓道はと言うと。百射皆中ひゃくしゃかいちゅう。まぁ、要するに百発百中ってことだ。できた時は色んな人に褒められた。親から、先生から、生徒から、地域の人から。それと同時に、少しみんなとの距離が離れた。声をかけても避けようとする。


なんだよ。そんなことになるなら、しなければ良かった。なんで普通になれなかったんだろう。


少しずつではあるが、そう思い始めた。そんな思いがだんだん増えた。

――。

つまらない。

そう思い始めたのはいつだったか。

剣道だけならまだしも、弓道までこのような成績を出すとさすがに化物バケモン扱いされるようになった。

それが自分へのストレスになり、やがて死にたがりになるほど―今の生活が耐えられなくなった。

あぁ……

嫌だ。


そんなある日、事件は起こった。

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