第13話手先を使ってボケない?

現役時代は有名人だった彼らは、

一人は予約の取れない日本料理の店の料理長をしていた82歳、

もう一人は着物の友禅染めの職人だった85歳。


板長だった彼は耳が遠くなり誰かが何を言っても聞こえておらず、

いつもイライラしていて、介護スタッフが何かを言ってもすぐに怒って、俺を馬鹿にしているのか!と切れていた。


染めの職人だった彼はあらゆる判断は出来なくなり、今何処に居るのかもわからない。食事を取るのも大変だ。もう自分では日常生活は送れない。


二人共手先を使う仕事に勤しんできた人だ。仕事に誇りを持ってきたに違いない。


ずっと手先を使うとボケないと言われて来たのに?


引退してしまったせいなのか?辞めてしまったからなのか?


人生最後まで仕事を続けられるのならばやめない方が良い。


しかも好きな仕事ならば。


歳を重ねて、最高なる仕事が出来なくなって(自分の中の判断)もう


限界なのかもと思い、それならキッパリと辞めてしまう方が潔い、


出来ない自分に腹を立てるならば、申し訳ないと思うならば、


と仕事を極めて来た人ほどそう思ってしまう。いつも完璧を求めてきたからだ!


出来ない自分にショックが大きい。それが認知症になるきっかけを作る。


それよりも好きな事を出来る範囲でやり続け、やれる有り難さを感じて生きていくほうがボケない。そこから新しい刺激を見つけられる可能性があるからだ。

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