第54話 チート×加護=危機
『戦争神の試練を完全突破(パーフェクトクリア)しました!
戦争神から試練突破の褒賞として以下が譲渡されます
・戦争神のゴーレム×500
・戦争神のゴーレム:オプション装備×500
・戦争神のゴーレム:整備交換用パーツ一式×5000
・戦争神のゴーレム:仕様解説書×1
・戦争神のゴーレム:取扱い必要スキルセット×1
・戦争神のゴーレム:取扱い必要アビリティセット×1
戦争神の試練を眺めていた存在がいます:盗賊神・???・???
副賞として以下が譲渡されます
・配下:ラートに対する加護
・盗賊神七つ道具(レプリカ)×1
・???印の懐中時計
・懐中時計用チェーン
・謎の種
・不思議な植木鉢
戦争神によりダンジョンへ続くゲートが開放されました
以降、戦争神の試練にいつでも挑戦する事が出来ます』
ちなみにゴーレムの数は1千と読んだ。なんでその半数しかもらわなかったかというと、
〈た、頼む! 半数、せめて半数にしてくれ! 開発したばかりで全く元を取っておらぬのだ!!〉
という泣きつきがあったからだ。誰がなんて言わなくても分かると思う。つーか戦争神の試練なんて二度と挑むかっての!! ……まぁダンジョンの目玉になるし、ソールやクウゲン辺り挑むんじゃないかなと思うから別にいいけど。
で、戻ってきました心折ダンジョン! 精霊神様が知らせてくれたはいいけど詳細が分からないから余計不安。まずはお知らせ画面をチェック!!
あぁうん戦争神の試練関係は別にいいんだよこっちから要求した事だし分かってるからなんか混ざってる気もするけど。その前だよ問題は!!
「…………な、」
で、発見したダンジョンの異常事態は、
「なんだこりゃー―――――!!?」
……絶叫するには、そりゃあ十分なインパクトがあったともさ……。
やっぱあのバカ神共、一発ぐらい殴っておくんだったぁあああああああ!!
『ダンジョンに4人の冒険者が侵入しました
¦
¦
ダンジョンの中ボス階層(レポリス)が突破されました
¦
(以下各階層が突破されましたが続く)
¦
ボス階層への侵入条件が
『最奥・ボス階層以外の階層の突破』
に設定されています
侵入者たちが条件を満たすまでに必要な階層は残り『4』階層です』
『嫁!? 大丈夫か、何があッた!? また神の奴か!?』
「私の心配はとりあえず置いておいて、各自現状報告!!」
『あるじかえってきたか! よかった、ぬかれるかとおもったぞわりとほんきで……!』
『ちょっと被害が出たけど全員割と元気だよー。まぁ主帰ってきたんだから返討ち間違いなしだろ……』
「感想は置いとけ期待はするな! 報告は!! 今どんな状況!? 何があったの、私がいない間に!!」
ソール、ラート、クラウドの順番に好き勝手言ってくれるが、聞きたいのはそうじゃない。思わず怒鳴ってしまう。お知らせ画面にまだ変化はない。
『……マスター、混乱するのは分かるけど、落ち着いて頂戴……。……とりあえず、ソール以外の全員の中ボス階層が正面から突破されたわ。不甲斐ないけれど……。……残りの階層は、【崖と緑の大迷宮】、【下落する天蓋】、【確殺回廊】、そして、中ボスとの戦闘階層の4つね……』
『戦闘階層以外はどれも主が直接作って、なおかつその後も手を入れ続けておった階層じゃの。報告が遅くなって済まぬが、この4人の冒険者ら、主と同じ異世界から来た者達と見て間違いないと思うぞい』
続いたレポリスとクウゲンの言葉でおおよそ把握。
「珍しく本格的に追い詰められてると思ったら、同郷か……。ん? ソール以外の階層は正面からって、ソール何やってたの」
『マスターの失踪により暴走していたので、ボス階層に押し込んでマシタ』
「……そぉるぅ……?」
『嫁が居なくてまともに戦えるわけねェから、戦ってても結果は変わンねェよ』
「よし分かった。1ヵ月同じ階層に入るの禁止」
『な……っ、よ、嫁!?』
考えうる限り一番ダメージになるだろう罰を言い渡す。かつてないほど焦った声が返ってくるが、装備を確認しながらきっぱり言い返した。
「愛してくれてるのは十二分に分かったけどね……。だからって暴走して揚句侵入者を通しちゃいましたっていうのはシャレにならない。そんな体たらくで、いざ本気で勝負ってなった時、私が異世界間拉致の元凶に人質に取られたらどうするつもり?」
『そンな真似そもそもさせねェよ!』
「仮定の話を否定するな。暴走したり自棄になったりするなんてもってのほか。どんな状況になっても頭だけは冷やして思考することを辞めないのが前提条件。はい、それ以上を出すために必要なのは?」
『………………過剰と言われるぐらいの万一の備え、と、それが全部通用しなかッたときの対処法想定……』
「おしい。そしてそれを実行に移さないと意味が無い」
消耗品の類を倉庫から呼び出し、わりと消耗していた杖を予備と交換して最奥の階層へワープ。ボス階層にはイベントが仕込んであるから、まずはそれを踏んでもらわないといけない。
まぁそれ以前に今上げられた4つの階層を突破できるかどうかが問題だが。戦闘階層以外は御大層な名前がついてしまったが、ようは最初に作った罠だらけな一本道の階層、緑エリアを設置した崖階層、そして久々に気合を入れて作ったプレッシャーゾーンの事だ。
崖階層は正しく進む為には最低3週はしないといけなく、プレッシャーゾーンは言わずもがな。一本道と時間稼ぎの階層は最終防衛ラインなので手なんか欠片も抜いていない。
「で、その冒険者たちの構成は?」
『主、容赦ねぇ……。あいや、構成か。えーと、軽戦士、重戦士、魔法使い、弓使い、罠解除係、だな』
『わなかいじょがかりはせんとうにいっさいさんかしないな。せんとうえりあぎりぎりのはしっこでじっとしてる』
『というより、奴隷ではないデスかね? あまりにも意思の表示に乏し過ぎるように思いマスが』
『……でも、おかしいのよね……それにしては、あまりにも罠感知と解除の腕前が良すぎるわ……』
『それは思っておった。主と同郷の4人はともかく、こちらの世界の民だろうあの罠解除係、どうも怪しいぞい』
「その子は神の差し金と思ってた方がいいね。捕えたと思って油断したりなんかしたら背中刺されそうだ。サクスン、特殊牢は今どんな感じ?」
やっと落ち着いてちゃんとした報告を上げてくれる皆。それぞれに思った事を総合して、レポリスとクウゲンの意見を拾い上げる。
同郷に関しては監視画面を見る限りでも、こちらの世界で手に入れた力に酔ってるだけのおバカさんだから、戦闘については問題ないだろう。
ただ、そのおまけというか何というか、くっついて来てる方が問題だ。真っ白い髪に赤い目……白色と皆は思ってるかもしれないが、コレは違う。色素欠乏症……アルビノの色だ。
つまり、本来の色が分からない。要注意である。
『神封じの牢はおおむね大丈夫だろう。とはいえ、上位神になると少々不安だがな。というか、今現在の材料で出来る強化はここまでだ』
「分かった。……しょうがない、あのオマケの子を入れるときは私が結界を重ね掛けするか」
『ちゅういしんだったらもんどうむようでかんぷうできるってじてんでいろいろおかしいけどな……』
『今更だ。慣れろ。それより主、この冒険者達、割と本気で実力あるけど大丈夫か?』
「いつだかの金色に比べりゃ速さも重さも小技も全然足りない。スタミナ無限だったとしても負ける気がしないな」
『主、とことんトラウマになっておるのう……』
『……そして一応人間である以上、スタミナも足りないに決まっているわよねぇ……』
『一応配下は全滅している訳デスが、さすがマスターデス』
「全滅じゃないでしょ。1人暴走してスルーしちゃったのがいるんだから。しかも割とまともな戦闘じゃないし」
『ぐゥ……』
『まぁそれもそうだなー』
色々と仕込みつつ冒険者たちの到着を待つ。まぁ正直、【確殺回廊】を抜けるのは無理があると思うが。しかもアレを越えた所で繋がってる先は最初の階層だし。
とか言っている間に冒険者たちが階層を移動。合わせて監視画面の視点も切り替わる。……おや、今思い描いていたところの階層じゃないか。
『あれ、何か、急に地味な廊下が来たよ?』
『どーだかぁー……。見た目を裏切ると思うけどなぁー……』
『あ。そーいや冒険者のセンパイキャラが言ってたぜー。確かこのダンジョンが出来たばっかりの時は、なんか、こーいう地味な通路があるだけだったって』
『という事は、ふむ、ここがかの悪名高き【確殺回廊】か……』
『【確殺回廊】って完全クリア者未だにゼロの、このダンジョン最強もとい最凶の階層だった筈だよ!?』
『まぁー……普通は、詰んだ、かなぁー……』
『罠の解除、本気で頼んだぜ! お前が頼りだからな!』
『表示されていた階層数は32ゆえ……ここを含め、最終階層とボス階層を除き、残りは4つと言ったところか。気合を入れてかかってもらいたいところよな』
しかし何というか、紅一点の逆ハーレムパーティっぽいな。元気系軽戦士の女の子がリーダーで、脱力系弓使い、おバカ系重戦士、マッド系魔法使いってところか。もちろんオマケは除いてだが。
…………おかしいな。こんな文字通り小説みたいな状況、見た事ない筈なんだけど……自分の事じゃないしな。かと言ってこんな主人公体質なんて身近には居なかった筈。
『でもあと4つでダンジョンの主とご対面だよ』
『まぁなー……』
『どんな奴か楽しみだな!』
『話によれば、反則な程に強いとの事。クク、楽しみよな』
…………の割に、何だ、この既視感は。割と嫌な感じな方向で。
『実は可愛い女の子だったりするかも知れないよ?』
『じゃあー……ぐちゃぐちゃ意味不明のモンスター型に一票ー……』
『あっ!? うーん、じゃあそうだな、影っぽい感じに賭ける!』
『ふむ……ならばやはり、恐ろしい人形と貧弱な本体、に賭けるのだよ』
なんかなー、この息の合った脱線具合。これが妙に記憶を刺激するんだけど、はてさて。
っつーか今更疑問に思ったけど、よくこの4人階層ダブりを起こさず来れたな。ストレートで未踏破階層に踏み込んできてる。しかも戦闘も割と少ないな……。
『いつの間にか賭けになってるよ!?』
『で、何を賭けるー……?』
『普通にEでいいんじゃねーの?』
『いや、クリア後の打ち上げ、その負担ではどうか……?』
配下の皆の階層は、ボーナスを突破したのか。ソール以外。ミニゲーム的な感じにしてもらったから、異世界知識と神様ボーナスがあったらクリアは割と簡単だろう。
『それ、いくらかかるか分からないよ! 重すぎるから却下なんだよ!』
『えー……じゃー……装備の修理代とかー……?』
『んじゃあ、宿代一泊分! 一番高いところ!』
『ふん……では、装備の強化代としておこうか。無論、成功するまでだが』
『どれもこれも、自分が負担する時にシャレにならないよ? うーんじゃあ、それじゃあ、えーと、このダンジョンの前の広場で、1時間食べ放題にしておくよ』
『いやー……それこそ、いくらかかるか分かったもんじゃないようなー……?』
『成功するまでの強化代っていうのも十分怖いけどな!』
『何を言うか。一番高い宿泊費など、それだけで何から何まで売り払わねば払えぬだろうよ』
そんなじゃれ合うような会話を4人が繰り広げている間も、解除役の女の子(?)はさくさくと罠を解除している。やっぱおかしいな。おやっさんみたいな本物の職人ならともかく、あんな女の子(?)にさくさく解除されるほどヌルい罠は仕掛けてないんだけど。
うん。どこぞの神の差し金決定。容赦なしだ。
『………………?』
『ん? まだ道の途中だよ?』
『どーしたぁー……?』
『…………進め、ない……』
『それも何かセンパイキャラが言ってたなー。下手に進むと道が消えるぞって。なんだっけ、ま、まままで、違うな。何だったかなー』
『真綿で首を絞めるように……か? クク、なるほど、性格が極悪というのも本当らしい……』
『いや、言ってる場合じゃないよ!? 自力蘇生アイテムなんてそうそう手に入らないレアアイテムで、しかもここまで来たんだよ!?』
『まぁー……それは、そーだけどなぁー……』
『でも進めないって事は進むとゲームオーバーって事だろ? 意味ねーじゃんそれじゃ』
『とはいえ、どの道撤退も出来ぬしな。何か、起死回生の必殺技などはないのか?』
あのな。そんな物があったらダンジョン経営なんてやってられないし。
……いやあったな。ダンジョンマスター強制召喚とかいうふざけたもとい反則な魔法、じゃないや神業が。
ていうことは、多分あるんだろうなー起死回生の必殺技。一発でこの階層に来るんだろうなチクショウ。まぁ良いけどさ。崖エリアはボーナスだから正体が割れなくて。プレッシャーゾーンは引っかかってほしかったけど。
『………………ない事、は、無い……けど……運任せ……』
『よし、じゃあ早速お願いするんだよ!』
『まぁ、こっちの切り札の1つは、超幸運だからなー……』
『4人揃ってるしな! 一気にボスまで行けるんじゃね!?』
『ククク、運任せならば奇跡も起きようという物。後は自力でダンジョンマスターを締め上げるのみよ……』
ほらね。やっぱりあった。
まぁ負ける気はしないがな。特にそこの魔法使い。お望みならじわじわいたぶってやるよ? 高笑いはキャラじゃないが、この程度か、ってため息でもついてやろうか? まぁそこの差し金ちゃんに対して余裕があればの話だけど。
そしてアルビノの女の子が下げていたカバンから取り出したのは……手のひらに収まってて見えないや。まぁなんかアイテム。もうこの後の展開は読めたから監視画面を閉じた。
で、案の定念話の方からは『眩しっ!?』等々の感想が思わず出ていた。それを聞かなかったふりでさらりと流して、体をぐりぐりと動かして気合を入れる。
さぁ。
遊ぼうか、同郷さん。
死の修行所・獄 ※心折れ注意
属性:無・罠・境界・異次元位相
レベル:6
マスターレベル:3
挑戦者:42121人
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