第17話 案内して一緒に過ごした!

ニューヨークへ着いて2日目になる日曜日、僕は一日中彼女たちを案内するために、スケジュールどおりに朝9時にホテルへ迎えに行った。


ロビーで待っていると二人が現れた。二人とも昨日とは違う服を着ている。女子は毎日服装を変えないといけないから大変だ。僕が言ったとおりに帽子も用意していた。僕は薄手のスラックスに半袖のストライプのカッターシャツだ。これならどこでもOKだ。


すぐに市内を周遊している2階建てバスの停留所へ歩いていった。バスはすぐに来た。8月の終わりと言ってもまだ日差しが強い。でも吹いてくる風はもう秋の気配が感じられる。


周遊経路に沿ってバスが走ってゆく。希望のところで、降りてしばらくそのあたりを見て回って、また、バスに乗って次の場所へ移動する。観たいところ、行きたいところが決まっていると効率的に観光ができるし、費用も安く済む。


でも結構疲れる。せいぜい回って1日5か所くらいだ。ロックフェラーセンター、国連本部、トランプタワーなどを見た。


二人とも疲れたようなのでバッテリーパークで一休みした。ベンチからは遠くにリバティー島の自由の女神が小さく見える。ここからそこへフェリーが出ている。船で行くと半日はつぶれるので、コースには含めなかった。


僕はふたりに飲み物を買って渡した。僕はこの公園で静かに海を見ているのが好きだ。昼食には屋台のベーグルとコーヒーを買って食べた。


それからまた2階建てバスに乗って、ウオール街を通って、グランドゼロを見て、それからホテルの近くまで戻ってきた。


市街見物中は僕はほとんど案内先の説明ばかりをしてガイドに徹していた。紗奈恵と大森さんは僕の説明を聞いて二人で話をしていて、僕は紗奈恵と二人で話ができなかった。


それから早めの夕食を僕の行きつけのレストランで食べた。ここはアメリカらしい料理のあるレストランだ。


飲み物だけど、彼女たちにはここのハウスワインであるカリフォルニア産の赤ワインをグラスで注文してあげた。


僕はサミュエル・アダムズ(Samuel Adams)を注文した。これはボストンにあるビール会社のビールで日本人の口にもよく合う。


ここへ赴任したときに、ビールを飲むならこれにしたらいいと事務所の人に勧められた。注文するときは「サミュアダムス」と何回も発音を教えてくれたのですぐに覚えた。


彼女たちは少食なのだが、色々食べてみたいと言うので、ステーキ、ロブスター、サーモンのソテーを注文してシェアすることにした。それにサラダを2人前注文した。きっと食べきれないほどの量がある。デザートにはそれぞれにソルベットとコーヒーを注文した。


紗奈恵と大森さんは最初、美味しい美味しいと食べていたが、すぐにお腹がいっぱいになったと見えて食事が進まない。僕は頑張って食べたが3人前は食べられない。


そこへデザートのソルベットが出てきたが、これも半端ないボリュームだった。「ボリュームがあるけど、美味しいね」といいながら、2人はすぐに平らげた。デザートは別腹らしい。


食事を終えると僕はタクシーを拾って、ミュージカルの劇場の前まで彼女たちを送っていった。彼女たちの希望は「シカゴ」だった。


僕はくれぐれも居眠りしないようにと言っておいた。僕はミュージカルが苦手でどれを見ても毎回必ず眠ってしまうので、遠慮しておいた。帰りは二人で大丈夫というので帰ってきた。眠ってしまわなければいいが。


◆◆◆

火曜日はナイヤガラ1日観光ツアーだ。日本語観光ツアーなので安心だ。朝8時にホテルの二人を迎えに行って、ツアーのバスがピックアップしてくれるホテルまで送って行った。帰りもそのホテルまで送ってくれる。


昨晩のミュージカルについて聞くと、二人とも「始めと最後しか覚えていなくて、途中は眠っていたみたい」と言っていた。「やっぱりね」と言うと「でも雰囲気だけは味わえた」と負け惜しみを言っていた。


8時30分にバスが来て二人の乗車を確認した。ほかにも日本人が数人参加しているので気が楽だろう。


◆◆◆

午後7時に今ホテルへ帰ったとの連絡があった。想像以上に水量が多くてすごく迫力があってとても良かったと言っていた。遊覧船で滝壺近くまでに行ったけど、水しぶきがすごかったとも言っていた。やはり勧めてよかった。

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