幼馴染みのいない家

円香が梅沢家を去った翌日、円香は何事もなかったかのように我が家にやって来た。円香はいつものように、自身が通う高校のブレザーの制服を身に纏っている。




「おはよ、彰人に菜月ちゃん」


「ああ・・・おはよう、円香」


「おはようございます、円香さん」




菜月は一応、円香に返事をするが、それと同時に少し機嫌が悪くなっている。しかも、「せっかくお兄ちゃんと一緒になれると思っていたのに・・・」と小言も言っている。そして、




「てか、変装しなくていいのか?まだ、マスコミとかファンとかいるんじゃねえの?」


「そんなのぐずぐず気にしてたら面倒臭いわ。さぁ、行きましょ」




円香は自分が今、どんな身に置かれているかを気にする素振りすら見せなかった。




そんなわけで、学校に到着。俺と円香は高等部の校舎に、菜月は中等部の校舎に向かう。そして、教室に着いた円香は、




「おはよ、円香」


「ところで円香と梅沢くんって、まだ付き合っているの?」


「私、まどまどに何かあったかもって気にしてたけど、元気そうでよかった・・・」




相変わらずの人気者だった。




◇ ◇ ◇




学校が終わると、俺は円香と一緒に帰ることにした。ちなみに菜月はこれから雑誌のインタビューがあるため、少し前に学校を去った。季節はもう12月の夕方4時。日もすっかり西に傾いている。




「そういえば私、まだ彰人のこと諦めてないから」


「え?それって・・・」


「もう・・・鈍すぎ!恋人同士なんだから、少しは私がまだ彰人のことが大好きだってことに気づいてくれてよね!」


「あー・・・悪い悪い、俺も円香のことが大好きだよ。愛してる」


「それだよ、それ!私は彰人からその言葉を聞きたかったの」




円香は笑顔で俺にそう言ってきた。




「そういえばクリスマスプレゼント、彰人は何が欲しい?私?」


「何でもいいよ。それより円香こそ、何が欲しいんだ?」


「えーと、私が欲しいのは・・・やっぱり、彰人からの愛かな」


「やっぱそれ言うと思ったよ。じゃあ、俺に『好き』って100回言って」


「うん!私、彰人のことがずーっと好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き・・・」


「・・・もういい!十分、お前の愛は伝わったから」


「・・・じゃあ、彰人も私に『好き』って100回言って」


「ああ、言ってやるよ。俺は円香のことがずーっと好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き・・・」


「・・・もういいよ!十分、彰人の愛は伝わったから」


「・・・お互い、咽せてしまったな」


「そうだね・・・」




そして俺とい円香はお互い顔を合わせ、お互いの愛を確かめる。そして、




「私、彰人のことがだーいすき。ずーっと一緒にいようね♡ダーリン」


「俺も円香のこと大好きだよ・・・一生愛し続ける」




俺と円香はお互い顔を合わせ、お互いの唇が触れ合ったのであった。

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