学校のある生活

俺と円香、そして菜月が通う聖峰せいほう学園は、中高一貫の私立校で、芸能活動に理解のある学校として人気があり、多くの芸能人を輩出している。全生徒全体の8割が芸能活動をしていると言っても過言ではないだろう。しかし、無論俺は芸能活動などしていない。単に円香から誘われて高校から入学した。入ってみるとそんなに悪くなく、普通に楽しい学校生活を送る事ができている。




俺と円香が通う高等部1年3組は、40人中33人が芸能活動をしている。その中に円香も含まれており円香は33人の中でも世間での知名度は断然No.1。ましてや、学校の中では知らない者はいないほどの有名人である。入学したての時は、俺と円香が幼馴染みと知った男子から凄い殺意を向けられたことがある。そして今日も円香が教室に入るとみんな大騒ぎだ。




「小野寺さん!グラビアめっちゃ可愛かったよ!」


「円香ちゃん!テレビ見たよ!めっちゃ可愛かった!」


(今日もトップアイドル様は人気だな・・・)




そんなことを思いながら人の集まりを避けて自分の席へ座る。俺の席は一番窓側の方で日当たりが良く、晴れた日はいつも授業中に眠くなる。そろそろホームルームが始まるので急いで支度を済まそうとしたその時だった。




「おい、梅沢。話がある」


「ん?」


「ちょっと聞きたいことがあるんだが・・・時間いいか?」




この男の名は関岡正樹せきおかまさき。俳優やってて、クラスの男子で一番仲が良い。




「ああ。別に良いが手短に頼むぞ。時間ないし」


「もちろん。あのさぁ、直球に聞くけどさぁ・・・お前、彼女いるの?」


「は?いねぇよ。てか、いるわけないだろ。何で聞くんだよ」


「いや。だって、お前が黒髪の美少女と一緒に外歩いてるの見たからさぁ・・・」


「はぁー!?」




俺は一瞬、卒倒した。

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