第1部
妹のいる家
俺の朝は妹に起こされて始まる。
「ほぉ~ら!お兄ちゃん!朝ですよ!起きてください!」
妹が良く似合う制服を着て、毎朝起こしに来てくれるのだ。俺の視界には可愛い妹と広い自室。
突然だが、俺の名前は
そしてこの黒髪ロングの美少女は
「もぅ!早くしてよ、バカ兄ィ!遅刻するよ!今日は学校でしょ!」
「あー、はいはい。起きます。起きますから。そんな普通に兄の部屋に入んないでくれ」
「お兄ちゃんが起きないからでしょ!?」
「あ・・・ごもっともです」
「早く着替えて一階に来て!私はマネージャーの車が家の前に来ているから、もう出かけるからね。あと、ちゃんと朝食は食べてね?」
俺は適当に返事をする。すると菜月は俺の方をギョロッと睨み付けとてつもない勢いで部屋のドアを閉めて出ていった。
耳を澄ませば、ドアの向こうで「返事をしっかりして!」と言う声が聞こえる。・・・母親みたいだな。
「ふわぁ~」
俺はベッドから体を起こす。そしてドアを開け、トイレを済ませて、リビングの方へ向かう。そして、俺は眠気を追い出して、テーブルへと向かう。机上には良い匂いが漂う美味しそうな朝食が並んでいた。
両親は共働きで、仕事で家を空けがちなので、よく菜月が手作りして、楽しそうに作ってくれるのだ。菜月の姿を見ているとこんな良い妹を持って本当に良かったな、とつくずく思う。
そんな事を思いながら菜月の手料理をパクり。・・・めっちゃ美味い。
「ご馳走さまでした」
俺は食器をキッチンの方へ持っていく。そしてシンクに置き、水を入れる。こんなだだっ広い部屋に一人でいると、心寂しくなる。菜月と朝一緒に食事をすることは少なく、収録などで朝早く家を出てしまうのだ。自分の用事もあるのに料理だとか洗濯だとか洗い物だとか全てをこなす妹には申し訳なく思うし、憧れてもいる。
しかし、俺ははっと時計を見る。朝の8時を廻っていた。俺の高校は8時半までに登校しなくてはいけないので、そろそろ行かなくてはいけない。大急ぎで歯磨きをし、制服に着替えると学校指定の鞄を持ち、大急ぎで長い廊下を駆け抜け、玄関を開ける。鍵をかけようとするが、焦りすぎて鍵穴に上手く鍵を差し込め無い。そしてやっとの思いで鍵をかける事に成功し、通学路へ直行。
「うわぁー、やっとだ~。よし、今日も綺麗な景色を見ながら登校登校」
しかし俺の視界に入ったのは美しい景色ではなく、よく見慣れた人物。
「はぁ!?やっとじゃ無いわよやっとじゃ。どんだけ待ちくたびれたと思ってるのよ。ほら、早く行くわよ!」
菜月と同様に、綺麗な長い黒髪。そして、雪のように白い肌・・・そう、俺がよく見慣れた人物こそ、俺の幼馴染みである
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