　困った人を助ける。

　世に云う、善行。

　では、それが、

　国家に、法に反する事であったなら。

　嘗て合法でも、今は違法であった、なら。

　その者は如何に生きる、在るべきなのか、だったのか。

　歴史に照らせばそれは、先の見えない、頑迷な、愚者の選択。

　歴史に、時の流れに殉じた者たち。

　まさかそれが、我が身に降り掛かる日が来ようなどと、それこそ杞憂というもの。

　常識、では。

　深香、彼女にとってもそれは同じだった。

　まして元カレと袂を分かつ、仇敵として対峙するなどという非現実的な、フィクショナブルな現実に直面する、などとは。

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