第58話それぞれ12
今日は銀行に祖母が死んだと休暇を出した。だがこれは嘘でかえでの老人ホームに入っていた祖母だ。私も病院に入っているときよく顔を見た。私はネクタイを締めてかえでと早く起きて泉州まで行く。10時には老人ホームの会議室に入る。中に入るとかえでは顔見知りがいないようで私の横に座る。
20分して見覚えのある母親が見たことのない年配の男と入ってきた。
「あれ、4人目の夫よ。今度は15歳も上だそうよ」
「彼が病院で一緒だった?」
「そうよ。偶然に出会った」
「どう?一緒に住まない?主人がかえでを気に入っているわ」
「母の男に抱かれるのはもうごめんよ」
かえでの話では3人が3人ともかえでを抱いたようだ。ひょっとしたら母がけしかけているようだとかえでは言っていた。話をしていると黒いスーツを着た男性が側に来た。彼が知らせてきたようだ。
「お母さんは遺言を書いておられていました」
と遺言を二人に見せている。私はかえでの横で相手の男性を見ている。勤め人と言う感じではない。今かえでの母は雇われママをスナックでしているという。
「なぜなの!」
祖母は昔持っていたスナックを売って老人ホームに入ったようだ。その金がまだ1千5百万残っていたようだ。葬式代と墓代を残してすべてかえでに譲ると書かれている。
「私も死んだらひろし君しか財産を残さないから」
と言うと私の腕を引っ張って外に出る。
「すっきりしたわ。これで私の唯一の縁はひろし君だけ」
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