第57話それぞれ11

 7時半に来るようにと平さんからメールが入った。私は急いで集金の集計をして袋に詰める。静江たち女性陣が帰って支店長が店を出る。7時10分私が慌てて裏口から出る。急ぎ足で飛田の表通りを抜ける。5分前に着いたようだ。店の端で父とかえでが何やら書類を渡している。

「悪いこと相談してないか?」

「お父さんに言う言葉ではないよ」

 かえでが睨む。父は慌てて書類をまとめて炊事場に入る。表に車が止まった音がしてドアが開く。常務が一人入ってくる。平さんが迎えに出ている。

「ここは若い子が増えたな?」

「紹介するよ」

「昔はよく来たな」

 常務がかえでを指名したらどうしようと思っている。だが常務は私に握手を求めて席に掛ける。

「あの串カツ屋君の店の柱になるぞ。あの店が伸びないのは柱になる取引先がないからさ」

 ビールをママが運んでくる。

「どうや。金融は?」

「ボチボチや」

 二人はやはり同期だ。金融の話もしているようだ。常務は業務推進部長だ。

「今度はブロックごとに競争をやる。君の店は小型店いや閉鎖候補グループだ。7店のうちどんべを廃店をする」

「早く辞めてよかったな」

 平さんと常務は正反対の性格だが気は合う。2時間かっきりで常務はタクシーでまたミナミに走る。私の融資を祝ってくれてようで支払いは常務が払った。入れ替えにかえでが2人で入ってきた。今日はここで飲むと決めていたのだ。

「彼女フィリッピン。可愛いでしょ?まだ17歳よ。この近くのアパートに5人で住んでいるよ」

「かえでの恋人?」

「彼女なの」

と二人で撮った写真を見せる。

「凄い美人!」

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