第40話すみれ5
かえでの了解を取って土曜の朝鞄を抱えてかえでのマンションに荷物を移した。恥ずかしいが夢の話もした。
「私なんか本当に2番の親父に入れられたよ。それで飛び出したのよ」
と受け入れてくれた。
合鍵で開けて部屋に入って鞄を置く。かえでは爆睡していて起きない。かえでは一人寝る時はつるつるの頭のままだ。だが寝顔が可愛い。そっとキッスをして外に出る。
父の泊まっているビジネスホテルのフロントにもう鞄を持って立っている。
「しばらく先輩のところに泊まる。冷蔵庫にはビールを半ダース買っている」
「ひろしはいないのか?」
「金はある?」
これには即座に返事がない。
「母とは話した?」
今度は父が黙っている。
マンションに着くと部屋に上がって説明する。布団は余分に買って置いた。
「テーブルに地図とそこにハローワークの位置をマークしている」
「仕事が見つかったら出て行く」
「それより母から預金を送ってもらったら?」
どうも父と話すのは苦手だ。テーブルの5万を置いて外に出る。これで来月は桔梗に行けそうもない。それにただで抱くのはどうかと思える。
「今日は早いね?」
おかんの店を覗く。
「今日からしばらく親父が泊まります」
「いいよ。お父さんは飲みに来ないの?」
「親父は苦手なんです」
9時に店を出てかえでのマンションに帰って布団に潜り込む。1時半に急に起こされて素っ裸のかえでが飛び込んでくる。
「仕事の後でもできるの?」
「そんなの関係ない」
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