第1話 妊娠してもドラマみたいにはならない
私の妊娠が発覚したのは、ゴールデンウィークの真っ最中でした。
妊娠検査薬で陽性が出る前から、やけに眠かったり頭が痛かったり体調不良が続いていたので、もしや妊娠したのではとは薄々思っていた私。
検査したくてたまりませんでしたが、妊娠検査薬の箱には、生理予定日から一週間以上経たないと反応が出ないと書いてあります。
そこで一週間そわそわしながら待ちました。
そして生理予定日から七日後に、待ちに待った検査してみると、予想通りみごとに陽性だったというわけだったのでした。
ちなみに帰ってきた夫にこのことを報告すると……。
夫「何となく具合わるそうだったからそうかなと思ってた」
とのこと。
な、なんか意外と冷静な反応。
普通さ、ドラマとか映画だったらもっと喜ぶじゃん??
何で分かるんだよ、エスパー?
それでも一応「妊娠検査薬見る?」と言ってみたのですが――
夫「いらない。だってそれ、おしっこかけたやつでしょ」
なんというドライな反応……。
現実って、ドラマのようにはならないですよね。
でも確かに汚いですよね。
よくメルカリとかで陽性の妊娠検査薬を売る人がいるって聞きますが、よく考えたら自分の尿をかけた棒を売るってすごい神経だな、オイ。
というわけで話は脱線しましたが、妊娠したのはいいけれど、困ったことに判明したのはゴールデンウィーク真っ最中。
近所の産婦人科はどこも開いていませんでした。
な、なんて間の悪い。
まぁ病気でもないし、産婦人科にはゴールデンウィークあけに行けばいいや、と思っていた私ですが――事件はその二日後に起こったのです。
私がいつものように自転車に乗って近所のスーパーに行ったその帰り、下腹部に激痛が。
慌てて家に帰ると、なんと出血しているではないですか!
しかし何度も言うように、この時はゴールデンウィーク真っ最中。どこの病院も開いていないのです。
仕方なく二、三日待ってゴールデンウィーク開けに有給を取り、婦人科に行きました。
ですが、休み明けということで病院はいつも以上に込み合っています。
結局、八時半に受付したのに診察室に通されたのはお昼をすぎた辺りでした。
きっと流産してしまったんだろうと、その間は気が気ではなかったのは言うまでもありません。
私「実は妊娠したんですが」
医者「えっ、本当ですか! おめでとうございます」
私「でも出血があるんですが」
私が言うと、お医者さんはすぐに見てくれました。
妊婦の検査というとお腹の上からエコーを当てるイメージだったのに、普通に股から器具を入れられたのでちょっとビビりましたけど。
医者「赤ちゃんの袋がありますね。ほら、これです」
赤ん坊がいるということは、とりあえず流産せずに生きているのだろうなとホッとはしました。
が、モニターを見ても黒い影があるだけで何が何やら分かりません。
これがドラマだったら、ここで「本当だ~! 赤ちゃんがいる!!」ってなるんでしょうけど、実際には子供がいると言われてもイマイチピンとこない……。
まあでも、ここは一応空気を読んで喜んでおいた方がいいかな?
私「ほ、本当だ~!」
私としては渾身の演技をしたつもりでしたが、医者は渋い顔をしました。
医者「心配なのであれば総合病院で詳しく検査してもらいますか?」
私「は、はい」
どうやら、医者はテンションがあまり上がらない私を見て、子供を心配しているのだと思った模様。
近くの総合病院への紹介状を書いてくれました。
いや、テンションが低いのは元からなんですが……(なお推しのことになると急にハイテンション&早口になる模様)
そして子宮の収縮を抑える薬と出血を止める薬を貰い、次の日に総合病院へと向かったのです。
つづく
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