幻影戦奇譚

@miyazima_tarou

序章 1話 始まり

キンコンカーンコン

終業のチャイムが鳴った。それを聞いて今日も学校が終わったな〜と背伸びをしながら思っていたら後ろから肩を叩かれた。

「なぁ、明この後サンフラワーに行かないか。」

「ああ、いいよ。じゃあ、皆も誘って行こうか。」

がらがらがら〜

教室の扉が開く音がして、そっちを見ると俺が誘おうと思っていた和久・真輔・流次がいた。

「そう言うと思って皆にはすでに声掛けてるよ。」

「おお、流石公一段取りが早いな。」

「まぁな。」

そう言って自慢げな顔を公一がしたので、俺は公一に一言こう言った。

「とか言って、実は俺が断った時のために誘ってたな。」

ギクッ

「あっはっはっ、そんなわけ無いだろ明。」

「はぁ、まったく公一。」

「なぁ、2人で何話してんだ。」

「ああ、和久、実はな…」

「おい、ちょっ…」

それから俺たちは、学校のすぐ近くにあるドラックストアのサンフラワーに行った。月に何回かこうして買い食いするのが俺たちの楽しみだ。

「なぁ、今日は近道使わない?」

「どうした明、何か用事とかあるのか?」

「いや、今日は金曜日だからさ、早く帰ってゲームでもやろうかなと思ってさ。」

「そうだな、そうするか。」

俺と和久かそんな会話をしていたら後ろから公一がこんな事を言い出した。

「となれば、今日は徹夜だな!!」

「バ〜カ、お前はいつも徹夜みたいなもんだろ。」

「おいおい、流次それは心外だぞ!?」

「確かに公一は、いつも朝は眠そうだもんな。」

「真輔まで、言うなよ〜。」

そんな他愛ない会話をしながら俺たちは近道に向かった。俺たちの家と学校の間には少し山が重なっているため少し迂回しなければならないのだ。そこで俺たちが使っている近道が、まず山道に入っていき、しばらく進んだら山の中を突っ切ると言うものだ。これで約10〜15分早く帰ることができる。そして俺たちは近道の山の中に入った。

ガサガサガサガサ

「あ〜そう言えばさ小耳に挟んだ話なんだけど来週に数学の抜き打ちテストやるらしいぞ。」

「えっ、なに本当かよ明!?」

「間違いないな。羽村先生と澤田先生が話していたのを偶然聞いたからな。」

「マジかよ…」

テストの話で少し憂鬱な表情の公一に和久が

「まぁ、公一は成績悪いからな。」

それを聞いてた真輔・流次が、少しニヤケながら公一に対して

「確かに、和久の言う通りだな。公一はしっかり勉強しないとな。」

「おいおい公一、ゲームなんてしてる余裕あるのか。」

「おい、待てよ和久はともかく、真輔や流次だって成績は良い方じゃないだろ!!」

「なに、お前に心配されるほど悪くはないぞ!!だろ流次。」

「ああ、それに俺たちの成績は中の下だが、お前は、下の中だろ!!」

「確かに成績は下の中だが、赤点はギリギリ回避しているぞ!!」

公一のこの一言に2人が声を揃えて

「その赤点スレスレなのが良くないんだよ!」

そんな会話をしながら進んでいたらある違和感に和久が気づいた。

「なぁ、皆なんだか変じゃないか。」

その問いに明が聞き返す

「どうかしたのか、和久?」

「いや、やけに長いなと思ってな。この山を抜けるのにこんなに時間が掛かったかなと思って。」

「そういえば、やけに長いな。そろそろ下り坂が終わって抜けても良いはずだけど…」

ここで、明が何かに気づいて辺りを見て、一言つぶやいた。

「なぁ、俺たちいつから平地を進んでたんだ?」

俺の一言を聞いて皆が驚いた顔をした。何故なら俺たちの通る下り坂は結構な緩やかなもので、それ下り終えたらすぐに山を抜ける事が出来る。だから平地にいるのはおかしいのだ。それから俺たちは無言になり急いで前に進んだ、しばらくして俺たちは山を抜けた。そこで見た景色は見慣れたものとはかけ離れたものだった。言い様のない異様な光景に真輔と流次が切れる息の中呟いた。

「なんだよこれ…」

「わかんねぇよ、俺たち近道通っただけだよな…」

そこには、見たことも無い草原が広がっていた。後ろを振り返ると俺たちが出てきた場所は森になっていた。俺たちはすぐに携帯を確認したが全員圏外になっていた。そうしてしばらく俺たちはこのどうしようもない状況で無言で佇んでいた。少しして和久が口を開いた。

「この後、どうする?来た道を戻ってみるか?」

「いや、戻っても何もないと思うから、やめよう。」

「待てよ、明も和久も何言ってんだよ!?まだ帰れないと決まったわけじゃないし、きっと夢でも見てるんだよ俺たち!だろ真輔、流次。」

「公一、気持ちはわかるけどさ、これは夢とかじゃなくて、現実で、しかも帰れないやつだ。」

真輔のその一言を聞いた流次が周りの広がる草原を見ながら

「なんだかさ、まるで異世界にでも来たようだな。」

流次のその一言が一瞬俺たちを静寂が包んだ。そして和久が話し始めた。

「とりあえず、ここが異世界かどうかは置いといて、これからどうする?現状俺たちは訳の分からない場所に来てしまったのは事実だし。俺からの提案はとりあえず、野宿の準備をしようと思うんだがどうだ?」

俺たちはどうしようもないこの状況でとりあえず和久の言う通り野宿の準備をすることにした。ただ、野宿の準備中に見たこの日のいや、この世界の初めて見る夕焼けを俺は決して忘れる事は無いと思った。

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