♣︎

500年後からのメッセージ



 引きこもりで不登校の俺がスマホゲームをしていると、一件のメールが届いた。どうせ迷惑メールだと思い件名を見てみると、『500年後の世界から』と書かれている。


 俺は少し気になってそのメールを開いてみた。



『今君がこれを読んでいるということは、 私のタイムメールの実験が成功したということだ。何も問題が無ければこのメールは令和元年10月1日に青山高校3年1組の誰かに届いているはず。そうだと願って説明を始めよう。このメールは今君がいる時間軸から500年先の未来で書いたものだ。何故それを君に送ったか、それは君に世界を救ってもらうためだ。実は今私がいる世界は別の惑星からやってきたウィシュエムという宇宙人によって侵略されつつある。もう既に世界は崩壊に近い状態にあり、生き残っている人間も私を含めて10人にも満たない。こうして研究所でメールを綴っているが、いつウイシュエムが襲ってくるか分からない。それほど私たちは危険に晒されている。そこで君の力が必要なんだ。もう私たちにウィシュエムに立ち向かう力は残されていない。君しかいないんだ。だからといって、何をすればいいんだと思っただろう。安心してくれ、今から指示することをしてくれればいい。実はウィシュエムの地球侵略計画は500年前から進行していた。そう、今君がいる時からだ。具体的にウィシュエムは人間の皮を被り地球にスパイとして侵入していた。そいつは令和元年10月1日、青山高校3年1組に桐山 玲奈という名で転入してくる。もう言いたいことは分かっただろ?君にそいつを退治してほしい。だが、人間を殺すとは訳が違う。ウィシュエムには弱点がある。それは胸に埋め込まれた赤い円盤のようなものだ。それを取ればウィシュエムの動きは止まる。いいか、ウィシュエムに敵意がバレれば一巻の終わりだ。慎重に任務を遂行してくれ。頼んだぞ。君に未来がかかっている。』



 なんだこれ。不登校の俺に対するイタズラか。


 俺はメールを無視してスマホゲームを続けた。


 500年後、世界は滅亡した。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る