2章2節 シオンの冒険者生活 Part1
第1話 冒険者登録
冒険者ギルド・フェーデル支部。
大通りに接する、5階建ての木造建造物は長い歴史を感じさせる。
ギルドは、領都の大通りに接するのと領都のギルドと言うこともあり、多くの人でごった返していた。
しかも、その冒険者を狙ってその大通りには宿屋や食事処、商店などが集中し、さらに人を呼んでいた。
そして、そんなギルドの前には2人の男と2人の女子がいた。
2人の女子は美少女の類に入るため人々の注目を集め、片方の美少女――美少女よりも美女の方が正しい――のシオンに、特に視線が集められていた。
「ここで立っているのも邪魔ですし、入りますか」
「おう、そうするか」
4人がギルドの扉をあけ中に入る。
ギルドの中も多くの人がいた。
依頼を探す人、受ける人、依頼達成を報告する人、報酬を分け合う人、時間を潰す人。
様々な人で溢れていた。
騒がしかったその場は静寂に包まれまたもや視線を集める。
そして――
「シオン様が来たぞー!!」
再度騒がしくなり、芸能人を前にした野次馬のようにシオンの周りに群がる。
シオンが学生の時、魔物の大群のボスをたった1人でとうbつしたため冒険者の中では、有名人となっていたのだ。
そんな彼らをいないかの如く無視して受付に進み、冒険者登録をする。
「3人分の冒険者登録をお願いします」
一緒に卒業証書を提出する。
学園の卒業証書を出せば、身分証明にも実力証明にもなるのだ。
しかし、受付嬢からは何の返事もない。
よく見れば、突然有名人が来たため、新人受付嬢は座ったまま気絶していた。
「早くしてください」
氷河よりもなお冷たい視線で威圧して、登録を催促する。
「は、はひっ!? じょ、上司を呼んできますぅ!」
新人受付嬢はそういうと奥の方へ消えていき、少ししてベテラン受付嬢がやってきた。
「先ほどは新人が失礼しました。あなた方の担当は私カメルが務めさせていただきます。では早速、こちらの書類にをご記入ください」
ベテラン受付嬢カメルは、しょつ行商書を受け取ると同時に別の書類を渡す。
書類には、名前・生年月日・職業・得意とする武器等の項目が書かれていた。
それらを全て記入し終える頃には、カメルはとある機器の準備をしていた。
さすがベテラン、仕事が早い。
「こちらはステータスを記録する装置です。手をかざすだけですので順番にどうぞ」
手をかざし終えるとカメルから説明がされる。
「まずランクについて説明させていただきます。冒険sυのランクは下から、E・D・C・B・A・Sとなっており、特例を除き、Eランクから始まります。魔物にも同じようなランクがつけられており、自分のランク以下なら討伐可能です」
ここはラノベとあまり変わらないようだ。
「次はクエストについてです。クエストは3つの種類に分かれており、通常クエスト、指名クエスト、緊急クエストがあります。通常クエストはそちらのクエストボードから選び、受付に持ってきてください。自分と同じランク以下なら大丈夫ですが、自分のランクより上のクエストは受けれません。パーティーを組む場合は、パーティー内の最高ランクの一つ上のランクまでなら受けることが可能です」
クエストボードの前には多くの冒険者がいた。
「そして、指名クエストは個人からの依頼となっっており、受けるか受けないかはご自分でお決めください。緊急クエストは国の危機などの際に強制参加となっております。3κぁしなかった場合はペナルティーをうけますのでお気をつけください」
緊急クエストは面倒そうだ。兄さんを探す時間が減ってしまう。
「細かい事は経験を積んでください。冒険者カードは明日お渡しできますので、明日また来てください」
元々そのつもりだったので問題ない。
「ちなみにシオンさんはBランク、残りのお2人はDランクからとなっております。Bランクからのスタートはここ30年で初めてのことなのでこれからも頑張ってください。冒険者カードにつてですが、E・D・Cランクは銅色、Bランクは銀色Aランクは金色、Sランクは白色です。身分証明に使えますので、無くさないようお願いします。ではまた明日お越し下さい」
ランクは正直どうでもいいが、高い方がなにかと融通が効くだろう。上げれるならできるだけ上げていった方が良さそうだ。
私たちは、礼を言ってからクエストボードを見に行く。
明日から始めるわけだがどんなクエストがあるかは見ておいた方がいいだろう。
そしてわたしたちは騒がしいクエストボードの前に紛れ込む。
♢ ♢ ♢ ♢ ♢
私は冒険者ギルド・フェーデル支部のベテラン受付嬢カメル・ローメン。29歳。もうすぐ三十路だがそこらの女に負けない美しさがある。
職場では私は「美人」「清楚」「完璧」などと呼ばれている。実際、私は真面目で今まで多くの努力をしてきた。
そして、私はモテる。今まで多くの男性から告白された。その数は三桁は超えているだろう。しかし私はその尽くを断ってきた。
なぜなら私は――
(あっ! あんなところに超可愛い子がっ。と思ったらシオンさん!?)
――年下の可愛い女の子が大好きだからだ。
(よく見ればあの子は、黒髪ロングの清楚系。そして先頭の実力は中々のもの……私のタイプにぴったりね)
私がシオンちゃんの受付をしようと思ったら、新人のところにいってしまった。
私はつい新人を睨んでしまう。
しかし、私のそんな視線にも気づかないほど緊張して気絶している新人。
(あんな超絶可愛い子の受付ができて、気絶!? 許すまじ……)
なんとか殺気を抑える。
新人がシオンちゃんに睨まれビクついたと思えば、私のところに走ってきた。
「先輩、変わってください!」
涙目ですがりついてきた。
おそらくあの冷たい目で怯えたのだろう。私にとってはご褒美だが……
(私がシオンちゃんの担当に?……いいわね)
「いいわよ。まかせて頂戴」
「ありがとうございます!」
新人と担当を変える。
シオンちゃんは近くで見ると遠目でみるより断然可愛い。
整った顔立ち、さらさらな黒く長い髪、そして白く柔らかそうな肌。
まさに芸術品。
わたしは興奮を抑え書類をわたし装置を準備する。
書き終えた書類を受け取る。そのときシオンちゃんの手に触れてしまう。
(ッッ!? 触っちゃった! 柔らかくてすべすべ!)
わたしの古墳は限界突破した。
しかし私はベテラン。顔色一つ変えずに仕事をする。
それにしても、もう1人の女の子リコちゃんも可愛いわね。
この2人でハーレムを…………これ以上は鼻血を出してしまう。
そんなことを考えていると、3人とも装置にステータスを記録し終えたようだ。
そして冒険者の説明も終えるとシオンちゃんはクエストボードの方に行ってしまう。
(ああ、私のシオンちゃん! でも後ろ姿も素敵!)
少し寂しさを覚えるも、私はシオンちゃんのこれからを応援するのであった。
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