通信制高校生の日記帳

みたつ

一日目 2019年9月某日

 夏の匂いが未だに漂い、汗が体にまとわりつく九月の終わり頃。

 僕は人生初めての期末テストを終え、切羽詰まっていた脳みそを枕の上で落ち着かせていた。


 太陽が昇り、社会の歯車が動き出し、僕は天井と話す。

 そんな僕を嘲るように雲は絶えず進む。

 

 「ああ、この無様で退屈な日常から逃げたい。」


 この悲痛な叫びは度々現れては僕の心を闇に漬けようとする。

 今日も例外ではない。

 せっかくの三連休をネガティブな気持ちで過ごすのは、愚かで馬鹿げていると分かってはいるが、この悲痛な叫びに賛同してしまう自分がいるのは否定できない。

 

 つまり、この三連休で僕は何一つ得ることができなかった。


 勉強や読書が人生をよりよくする、もちろんこれは事実だし、理解しているつもりだ。

 しかし、人間は理論では動かない。結局、目の前の欲でしか判断ができないのだ。

 今、僕は十六年間生きてきた中で一番欲に弱い。

 だからこそ、欲に打ち勝たないと今後の人生で食欲、性欲、物欲のどれかに負ける自信がある。


 欲に従えば、今を満足させるのには十分な刺激が得られるだろう。

 しかし、自ら不幸に近づいていることに変わりはない。


 ただ、今回の三連休では欲に従順すぎていた。

 次こそは欲に勝って、充実した休日を過ごしたい。

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