第518話 圧倒的力!
《魔神城》
勇者を迎えるために作られたその部屋は広い円柱で、天井を支えるための白い柱が何本もあり、その真ん中に円の階段と玉座があった。
外は深夜だと言うのに光は神々しく天井から入ってきている。
「全力を出してこい、勇者!」
魔神は黒と紫の禍々しい頭装備を装着して立つ。
「言われなくても!」
「……」
勇者2人は玉座から立った瞬間、魔神に向かって黄金のランスと美しい日本刀を持ち、最大魔法の構えをし……その魔法を口にした。
敵を捉えれば逃げられない神級魔法。
「「【目撃__」」
「甘いな」
「__突】!」
「__斬】!」
だが、リュウトとヒロユキに手応えはない、それどころか……
「どこいきやがった!?」
「……!、後ろだ!」
目の前でずっと見ていたのにも関わらず2人は魔神を“見失ってしまった”のだ。
「遅すぎる」
2人が後ろを振り向こうとしたその僅かな間で魔神は魔法を発動させ白いレーザーを勇者の武器の持ち手に当てる。
「っ!」
「……」
ランスはリュウトの手を離れ少し離れた所に落ち、日本刀もランスと反対方向の位置に落ちた。
「どうして!」
「ふん……勇者の使う【目撃】魔法は相手を敵と認識して目で捉え、武器を振れば攻撃が当たると言う魔法」
「….…」
「それが解っていれば対処は簡単だ、単純に相手の目で捉えられない程早く動くか、武器を振れない様にするやら、やり方はいくらでもある____さらに」
「……っ!」
魔神が話しているのを隙に日本刀を手元に戻そうとしたヒロユキを魔神は蹴り飛ばす。
「それしか武器を持てない故に魔力を流せば自分の手元に返ってくる……だがその瞬間は隙だらけだ」
蹴り飛ばされたヒロユキは1つの支柱に背中から当たって地面に落ちる。
「ヒロユキ!」
「……来るな!」
駆け寄ろうとしたリュウトを静止させる。
「良い判断だ」
それを見た魔神は指を鳴らすとヒロユキの装備に紫の魔法陣が浮かび上がり爆発した。
「ヒロユキいい!!」
「我が触れた時に何個か仕掛けをさせてもらった、貴様はアイツに感謝するんだな、アイツもろとも近づいてきた貴様を排除しようとしたが、我の行動に気付き罠だと悟った……だが、休んでいる暇はないぞ」
「っ!」
爆発の煙が上がっている中、魔神はリュウトに魔法攻撃を開始する。
「くそ!」
リュウトは支柱を縫うように全力で走って避ける。
「フハハハハ、避けているだけでは攻撃ができんぞ」
「そんなこと!わかってる!」
だがリュウトは徐々に落ちている黄金のランスに近づいていく……だが
「浅はかな考えだ、我を倒せるとすればその武器しかない、当然警戒しているに決まってるだろう」
白いレーザーは落ちているランスに当たって弾け飛び転がっていった。
「くそ!【メテオブラスト】!」
リュウトの前に巨大な魔法陣が発動して炎の渦が魔神に襲いかかった。
「ふん、愚かだな……そんなものが効くと思っているのか?」
だが魔神にはまったくダメージがない。
「くそ!くそくそくそ!」
「魔法とはこう使うんだ」
炎の渦の中で魔法陣が展開される。
「【凍れ】」
「な!?」
その瞬間、炎が一瞬で凍ったのだ!
氷はパリパリと音を立てて砕け魔神が出てくる。
「これが何を意味するか分からない訳ではないだろう?」
「くっ……」
リュウトの放ったメテオブラストは超級魔法の中でも上位の炎魔法、それが凍ったと言う事はそれ以上の魔力を使った氷魔法と言う事だ。
それ以上の魔法を撃つほどリュウトの魔力に余裕はない。
つまり、本当に魔神に対してダメージを与えれるのは……
「ランスさえあれば!」
「それは残念だったな、無くて」
「うおおおおおおおおおお!」
「最後は捨て身の攻撃か……」
向かってくるリュウトをつまらなさそうに待つ魔神。
「てりゃぁぁぁあ!」
「くだらん」
リュウトの攻撃を避けて軽々と首を持つ。
「ぐっ……あ……」
「死ね」
だが、腕はリュウトの首を折ることはなかった何故なら……
「……はぁぁぁあ!」
魔神は腕を“突然現れた”ヒロユキに斬られ地面に落ちる。
「が、は……起きるのが遅いぞ、ヒロユキ……」
「……すまん」
そのヒロユキの目には【魔王カクリコーンの紋章】が浮かんでいた。
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