第8章
第498話 ミクラル王の所へ?
《ミクラル城 控え室》
「いらっしゃいダーリン!あんたから連絡くれるなんてあたしゃ幸せもんだよ!」
「……」
控え室にヒロユキが入るや否やヒロユキの2倍くらいある身体で抱きしめてくるナオミ。
彼女の身体は以前よりも筋肉が増して傷も増えている。
「急に来てすいません」
「リュウトも久しぶりだね、ありゃ?今日は勇者揃って2人だけかい?」
ヒロユキを離さずリュウトに話しかけるナオミ。
「はい、他の人もちょっと準備をしていてですね……」
「話なら聞いてるよ、魔神討伐の件だろ?」
「はい……信じられないかもしれませんがこの世界は__」
「信じるさ」
そこでようやくヒロユキを解放したナオミ。
「……聞き分けがいいな」
「ダーリンほどじゃないけどね、あたしの場合……まぁいいか」
「……?」
「聞くより見たほうが早い、アレン国王も仕事がひと段落したら話をしてくれる、それまてここで待っとくんだね」
「はい、分かりました」
「……ナオミ」
「?、なんだい?」
「……色々すまないな」
「いいってことよ、例なら平和になった後の世界で身体で払いな」
「……断る」
「つれないねぇ」
そのやりとりをするとナオミは控え室を出て行った。
「……」
「……」
「ダーリンって言ってたけどヒロユキお前……」
「……違う」
「だ、だよな、ははは」
「……」
「……」
お互いが控え室のソファに向き合う感じに座って呼び出されるのを待つ。
「こうやって2人だけになるのはいつぶりだろうな」
「……最初の馬車以来だ」
「あーあの時かぁ……この世界に来てから日にちの感覚がおかしくなってるんだよなぁ」
「……次々に色んなことが起こってるからな」
「ほんと、色んなことがあったな……」
「……あぁ」
「ユキさんの事、心配じゃないのか?」
「……?」
「いや、俺だったら自分で行くだろうなって思って」
「……一言で言うと心配していない」
「え」
「……今までユキは俺に助けを求めた事は無かった、今回もだ」
「そうとしても今回はって事がありえるんじゃないか?」
「……その時は助けに行かなかった自分を恨みながら生きていく」
「……」
リュウトは黙る。
“助けに行かなかった自分を恨む”
それは今後の人生ずーっと残り続ける記憶だろう、ヒロユキの判断は決して軽いものではなかった。
その覚悟故の判断だったのだ。
「すまん……悪いことを言った」
「……気にするな」
「そう言えば、俺のパーティーにもユキって子が居て__」
そのタイミングでドアが開かれナオミが来る。
「時間だよ」
「お、待ってました」
「……行こう」
ナオミに連れられ長い廊下を歩いていく……
「一つ言っておくが、ダーリンもリュウトも城の中で戦闘なんてものはやめておくれ」
「「?」」
いきなりそんな事を言うナオミに疑問を持つ2人。
「まぁ、行けば解るさ」
大きな扉が魔法で開き、勇者2人は中に入ると転移魔法陣が起動した。
ミクラルの城は他の2つの国の城より4・5倍は大きい、こうして転移魔法を使って移動するのだろう。
リュウト達が転移した先は玉座の置かれている大きな部屋。
だが、玉座に座っているのはアレン国王では無かった。
「……誰だ」
「あなたは?」
その人物は勇者2人を見て玉座から立つ。
「ようこそ、勇者ども……私は吸血鬼の元魔王、アビと申します、以後お見知り置きを」
そう、勇者2人を迎えたのは元ミクラル王国を管理していた吸血鬼の魔王……そして、現在神の使徒になっている【アビ】だった。
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