第483話 神の使徒と女神のお食事会

 《グリード城 客間》


 『それじゃぁ、いただきます♪』


 「はい、いただきます」


 「「「……」」」


 机に並べられた高級料理の数々。

 その一つ一つがプラチナ冒険者の年収並みの値段がする料理だ。

 

 『これ美味しいわね♪流石グリード城に仕える料理人なだけあるわ〜』


 「ほんとだね〜」


 バクバクと料理を食べて行くグリード女王の『サクラ』と【ルコサ】

 

 「何呑気に仲良く食ってんだぁぁあ殺すぞおおお!!」


 「「……」」


 クロエの叫びにうんうんと頷いくオリバルとキール……


 『ルコサくん、あんたのとこの小さい女の子が騒いでるわよ』


 「あぁ大丈夫いつものことだから」


 「いつもの事じゃねぇ!何仲良くしてんだよ!」


 「え?でも俺たちだって人間だから食っていかないと死んじゃうし……」


 「んなもんいつも通り転送させてきたもん食えば良いだろ!」


 「クロエだって王宮の騎士達と一緒に仲良く食ってたじゃないか〜」


 「うぐ、それとこれとは別だろ!相手の格がちがうはボケ!相手は女神だぞ!正真正銘の!」


 「まぁまぁ(笑)」


 その返しにクロエの血管が切れるような音が聞こえた。


 「帰る!」


 『待ちなさい、クロエちゃん』


 「誰がちゃん付けしてんだクソ野郎」


 『安心するかしら、私がアナタ達神の使徒をどうこうしようとはしないわよ』


 「なんでテメー視点なんだよ、俺達がお前をどうこうしようとしてないの間違いだろ?」


 『キャハハ♪全員が力合わせないと魔王くらいも倒せない実力でよく言うわね♪おもしろーい』


 「あ?」


 クロエの目の瞳孔は開き武器を出して掴む。


 「クロエ……落ち着いて……」


 「邪魔すんなオリバル、こいつはここで殺す」


 『それが出来ないから困ってるんでしょ〜?』


 そこまで聞いてルコサは口の中にあった食べ物を飲み込み話し出す。


 「まぁまぁ、お互いに無駄な事はやめようよ?俺たちが束になって女神に挑んでも勝てない、逆に女神の方は俺たちを今ここで殺してもまた新たに同じような人が神の使徒に選ばれてどこかで仕事をする、だから目の届く範囲に入れときたい」


 『本当は残り2人の使徒も置いときたかったんだけどね〜』


 「いいじゃん?あの2人はイレギュラー、元々は俺たち4人の予定だったんだから」


 『そうよね〜、しかもその4人の中にまさかアナタが居るとはねぇ……キール』


 「…………」


 『食べないの?美味しいわよ?それとも自分の城で客人として振る舞われるのが嫌なのかしら?私はいつでも戻ってきてオッケーよ?今もまだ、代表騎士としての席は空けてあるわ』


 女神の問いかけにキールはナイフとフォークを持って目の前のステーキを切り始める。


 「私は神の使徒として居る事を決めた、今更戻る気などない」


 『あーあ、タソガレちゃんが悲しむよー?』


 「彼女とはもう話した、全てが終わった後に返事をする」


 『ふ〜ん、やるじゃない、その辺はヘタレかと思ってたけど』


 「もう昔の私ではない、今はお前の敵だ」


 そう言ってステーキを頬張った。


 「……美味いな」


 『でしょ〜♪』


 「はぁ……それで、ルコさんよ……その口ぶりだと当然、意味があってここに全員集めたんだろうな?」


 クロエも頭が冷えたのかまたイスに座って机に足を乗っけて組む。


 「あぁ、それはこれから解るよ」


 「また勿体ぶりやがって……」


 「クロだって神からの仕事をしてると解ると思うけど?」


 「仕事内容を言葉に出すと『女神』に察知される可能性がある、だから確定するまで言葉に出すな、だろ?」


 「そゆこと、オリバやキーくんだって仕事をしてるかもしれないんだから」


 「んで?まちゃーいいのか?じゃぁ」


 「うん、そうだね……でも今回はダメだったみたい」


 「は?」


 そのタイミングで女神に連絡が入る。


 『{えぇ、そう、通して良いわ、ここに呼んで}』


 「俺達や女神が唯一干渉できない相手、【勇者】……彼等を導くのが俺たちの役目だったんだけど」


 『残念ね、今回は私の勝ちよ』





 そう言って客間の扉が開かれ入ってきたのは1人の【勇者】









 『おかえりなさい、勇者リュウト』









 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る