第484話 聞きたい事は1つ

 

 「あぁ!?」


 クロエは入ってきた勇者リュウトを睨みつける。


 「……」


 「てめー!ここにはもう来んなっつったよな?どう言う事だ!」


 「ごめん、クロエさん……どうしても女王に聞きたいことがあって」


 「ふざけんな!次の俺たちの誰かから指示があるまで動くなっつったろ!大体コイツはな!」


 『まぁまぁクロエちゃん、落ち着いて?彼も馬鹿じゃないかしら、もう私の存在に気付いてる、なのに来たんでしょ?』


 「……やっぱり、サクラ女王じゃないんだな、お前は」


 『まぁねぇピースピース』


 「サクラ女王はどこへいった?」


 『そんなこと今更聞いてどうするの?彼女はもともとこの歳まで生きれない身体だったのよ?』


 「なら、今のお前は死体か?」


 『ん〜?何考えてるか分からないけど、違うわよ〜♪私が中にいる限りこの子も中にいる、その代わり私が居なくなれば身体の魔力を操作できなくなって死ぬけどね』


 「それは……残念だ、死体なら迷いなく殺せたのに」


 『ふ〜ん……私、何かボロを出しちゃったかしら?』


 リュウトは一瞬で武器を抜いて女王の顔を突き刺そうとした!__だが!


 『……』


 レイピアの先端は女王の目の1センチ前で神の使徒達に止められた。


 「おい……何やってやがる?俺たちの許可なしで」


 リュウトの首に巨大鎌を当てながらクロエが低いトーンの声で威圧する。


 「どういう事ですか、これは……アナタ達は神の使徒でしょ」


 「だからこそ、止めている……」


 オリバルはリュウトの腕を固定し頭に銃を突きつけてた。


 「うーん、せっかくの料理がめちゃくちゃだね、3秒ルールで食べれるかな?」


 ルコサはリュウトの片足にしがみつきながら格好悪い。


 「何より、どうしてアナタが止まるんですか……キールさん!」


 そしてキールは横からリュウトのレイピアを握ってそれ以上行かないようにしていた。


 『キャハッ♪相変わらずオツムが足りてないわね〜?そんなんだから利用されるんですよ、リュウト様』


 「っ!」


 「言っとくが、俺が我慢してんのにテメーがキレて暴れ出したら容赦しねーからな?殺すぞ」


 クロエが釘を刺した所でリュウトは身体の力を抜いた。


 「……残りの魔王は?」


 「もう居ないよ、後は魔神だけだね」


 『そう言うこと♪その事を聞きに来たんでしょ?』


 「……」


 ルコサはリュウトの足から離れて風圧で倒れていた椅子を立て直し座りながらだるそうに言う。


 「あー僕達からしたらまだ早いからもうほんの1ヶ月は待って欲しかったんだけどなぁ、だめ?」


 「すいませんルコサさん……急いでるので」


 「テメー……こうなったら力付くで!」


 「ダメだよクロエ、勇者に干渉しすぎると女神の方が有利になる」

 

 「ちっ……」


 「それで、リュウト、ここまで私たちの意見を聞いていても行くと言うのか?」


 「キールさん……すいません」


 「ならば、私達は君を止めない、止めれない」


 『話は決まった?』


 神の使徒達はそれぞれ不満そうにリュウトを解放してあげた。


 「あぁ、ただお前と会うのもこれっきりだ……魔神の居場所を教えろ」


 『いいわよ♪魔神の居る場所は【神の島】と呼ばれる所よ、あなたに辿り着けるかしら?』


 「何がなんでも魔神の所へ行く……そして全てを終わらせてやる」


 そう言ってリュウトは机から降りて部屋を出て行った……


 『はぁ……なんて可愛いのリュウトくん♪本当に食べちゃいたい』


 「君の場合、食べちゃったのがバレたんでしょ」


 『あら?何のこと?』


 「ん〜?なんの事だろうね〜?」


 ルコサ以外の神の使徒メンバーはそのまま何も言わずに部屋を出ようとするがリュウトに開けられた扉は突如大きな音を立てて閉まった。


 『……………どこへいくの?』


 部屋の明かりが消えて女神の雰囲気が変わる。

 だがそれは他のメンバーも同じだった。


 「は!要約やる気になったじゃねーか?殺すぞ?」


 「俺たちは次の仕事が出来た……悪いけどここから出させてもらう……」


 『キール、あなたもなの?』


 「そうだ、私ももうここに居なくていいみたいだからな」


 女神の1番近くにいたルコサは落ちていたパンを少し齧って後ろに投げ捨て女神に言う。


 「と、言うことで、僕達はここで、おいたまさせてもらうよ」














 『ふふ〜ん♪________この城から出れると思う?私があんた達を出すと思う?』



















 








 

 「うん、思うね」








 そう言ってルコサは魔法を発動させた。



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