第442話 魔神

 《神の島 魔神城》



 「……」


 暗い部屋の中の真ん中に浮かぶ青い球体……《地球》のレプリカを囲うように12個のイスが用意されてるが、そこに座るのは1人だけだ。


 「バルゴも殺されたか」


 黒と紫の禍々しい装備を身に纏う目つきの悪い青年。

 【魔神】は小さな地球にあった最後の反応が消えたのを確認して呟く……。


 「これで残るは俺1人のみ、まぁいい、それは良いがお前が魔王討伐に協力するとはどういう事だ」





 「ルコサ」



 

 暗い闇の中、魔神の後ろから白い神父服を来たルコサが現れた。


 「うん、俺もびっくりしてるよ、だけど安心して【レオ】を倒したのは俺じゃなくてキールくんだから」


 「貴様が以前言ってた伝説の勇者の子孫か」


 「そ、顔見たい?」


 「ぬかせ、それで、どうしてそいつが?」


 「イレギュラーが起きてる、もはや俺たちの知ってる世界のシナリオじゃない」


 「ほう」


 「そもそも、キーくんが勇者の子孫だってのも知らなかったし、まず俺が神の使者をしてる事自体がイレギュラーだったんだけど」


 「貴様を使っても戻せない事が起こってるという事か、察するに、あの【アオイ』と言う奴だな」


 「あぁ……アイツは神の支配からも女神の洗脳からも逸脱した存在、その癖、神の力も女神の力も使えるから制御不能にもほどほどにしてほしいよね」


 「消すか?」


 「いや、消すにも何か変なんだ、だから君に決めて欲しい、全て任せるよ」


 「ふん、そうか……ならば俺はここで待つとしよう」


 「うん、じゃ、そろそろ帰っとかないとマジの女神様が怪しんじゃうから帰るよ、君にはこの事だけを伝えたくてね、じゃね」


 ルコサはそう言って世界地図を開いて消えて行った。


 「【アオイ』……世界のイレギュラーか」


 「それが今の世界の天秤を崩す物ですか」


 「…………ほう?今日は客人が多い日だ」


 ルコサが去った後、まるで入れ替わったかのように1人の女が現れた。

 しかし、人間ではない、彼女の肌は真っ白で恐竜のような尻尾と胸には紫のコアがあった。


 「私はあの方が苦手です、あの方の未来はどれもこれもが適当、未来を考えずにその場でしか判断しない愚か者ですから」


 「アイツの悪口はいい、俺の前に現れるとはどういう料簡だ《六英雄》の1人、ウジーザス」


 ウジーザスと呼ばれた彼女は真っ直ぐ魔神を見る。


 「世界の天秤が傾きました、今まで平和だった世界が人間によって滅ぼされようとしています」


 「……」


 「だから私達がまた活動を開始します」


 「ほう、それは面白いな」


 「なので、私達の邪魔をしないように頼みに来ました」


 「俺が貴様達の邪魔を?そんな未来が見えたのか?」


 「…………はい」


 ウジーザスの目は血で赤くなり抑えきれなくなった血は涙として垂れている。


 「ふん、邪魔をするも何も俺はここで奴らを待つだけだ、他は好きにしろ」


 「ありがとうございます、あなたと戦うには全員集めなければいけませんからね」


 「全員集めたところで俺に敵うと思わぬ事だ」


 「…………」


 ウジーザスは何も言わず一礼した後消えて行った。


 「未来を見た……か……その割には」









 「死ぬ覚悟をしている目だったな」













 


 

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