第440話 直されるシナリオ

 《セクシアル村 跡地》


 「これは……どう言うことさね」


 アオイ達が去った後、そこに残っているのは崩落した建物だけだった。

 少し遅れて指令を出されていたルダが到着する。


 「明らかに争った形跡さね、しかし、いったい誰が」


 何か痕跡が無いかとあたりを散歩するルダだが、村には特に何も無い。


 「ここに無いとすると、あそこしかないさね」


 少し遠くにそびえ立つ神殿。


 「よっ」


 ルダは醜くて綺麗な翅を出し神殿までゆっくりと飛んで神殿の周りをくるくると周る。


 「この建物だけは綺麗なまま……ん?」


 神殿の前によく知ってる魔力の痕跡を発見した。

 

 「まったく……あいつらも来てたのか?私をのけものにしてグリードの女王の所へいくとか言っときながら……若い奴らで!年寄りは寂しいと寿命が縮むさね!」


 ぷんぷん怒りながら通信魔皮紙を取り出して繋げる。


 「{さっさと出るさね!}」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 《サンルナトーン》


 「お、通信だ」


 「は?俺たちには通信すんなって言ってたくせにルコさんだけ出来るのはど〜言うことだ?殺すぞ」


 「まぁまぁクロエ、あの女王の中の女神は俺以外の人を狙ってるからパーティーの人達に持たせるのは危ないんだ」


 「どう危ないんだよ!」


 「主に通信記録とかかな?少しでも敵対してるって思われたら俺のこれが発動して死んじゃうでしょ」


 「はん……まぁいい、で?さっさと出た方がいいんじゃねーか?どうせルダだろ」


 「ま、そうだろうね」


 {さっさと出るさね!}


 「{ごめんごめん、こっちも立て込んでてね}」


 {なーにが立て込んでてさね、年寄りを仲間外れにして!}


 「{?、何言ってるんだい?}」


 {お前に言われた通りサキュバスの村にアオイ達を導くためにここに来たらまったくすっからかんさね、とりあえず何かないか探してたらオリバルの魔法弾の痕跡をがあったさね}


 「{ふーーーん……}」


 {何がふーーんさね!ここを壊滅させるならさせるで言ってもらえれば無駄足を}


 「{いや、その件は何も俺は聞かされてないよ}」


 {は?}


 「{ちょっとまってて}」


 ルコサはその場を動かずに大きな声で離れた場所で血塗れの装備を洗ってるオリバルに声をかける。

 

 「ねー、オリバルーちょっと前によく分からない行動してたよねー」


 「……」


 「それってもしかしてオリバルも神の声を」


 「秘密だ……」


 「あー、そう、秘密ねおけおけ」


 もう一度通信にもどる。


 「{犯人オリバルだわ、でも俺達はそっちに行ってないよ}」


 {どう言うことさね}


 「{オリバルの持つ武器は心を持った神の武器だ、何か直接命令が来てそっちに狙撃したんだろう}」


 {はぁ……もう驚かないさね、だけど一応聞くさね、その位置からここまで何キロあるさね?}


 「{えーっと、一応ここがグリードの南末端にある町からまだ南に700キロ近くだから……ざっと17000キロだね}」


 {軌道上の物や人はどうなったさね?}


 「{人は神の力で軌道上から退避させてるけど魔物や建物、木は貫かれていっただろうね}」


 {一体……何を撃ったさね}


 「{さぁ?でも神が俺を通さずにオリバルに言ったことだから、よっぽど焦ってたんだろうね}」


 {神のシナリオにイレギュラーが発生したとでも?}


 「{逆だろうね、今までだってイレギュラーは出てた、だけど今回だけは無理やり自分の思い通りにしたんだ}」


 {最初からそうすればいいさね、なーんで今頃になって……}


 「{神の考えは分からない、けど}」


 {けど?}


 「{もうそろそろ、終わりが近いんだろうね}」


 そう言うルコサの手はこの地、《サンルナトーン》の魔王の首を持っていた。

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