第432話 国を裏切ってでも手に入れた幸せが崩れる音
《セクシアル村 アイ家》
「起きろお前たち、朝ごはんだぞー」
「「「はーーーい」」」
キングがアオイ達を連れて出て行った後、しばらくしてアイはいつもの様に子供達に朝ごはんを用意していた。
テーブルにはパンやサラダ、そして魔物の赤身お肉が並べられている。
「さて、みんな席に着いたな?食べる前に言うことは?」
「「「いただきます!」」」
「はい、いただきます」
子供達はまだ不慣れな箸の使い方でガツガツと朝ごはんを元気よく食べていく。
「ほら、口に付いてるぞ」
「ん!」
アイは長男の口についたソースを拭き取ってあげて笑顔を漏らす。
「幸せ者だな、私は」
国を裏切ってでも手に入れた幸せな風景。
アイは自分の行いに疑いを抱かなかった。
「お……」
ポコんっとアイのお腹に居る子が内側から蹴る。
「お前もそう思うか」
お腹をさすりながらアイは幸せな日常を満喫する。
だが……
「っ!」
突然アイの脳裏に浮かぶビジョン。
クナイを持ったアオイがゆっくり歩いて来て。
「ア、アオイ?」
そして、
「や、やめろ!」
クナイは自分の脳天に振り下ろされた。
「うわぁぁあ!……ハッ!?」
気がつくとアイは元のイスに戻っていた、手や額には汗が滲み出ている。
「お母さん?」
「どうしたの?」
子供達は食べる手を止めてアイを心配そうに見て話しかけた。
「何でもないよ、今日は隣のマレ子ちゃん達姉妹と遊ぶんだろ?なら、早く食べないとな」
「あ!そうだった!」
「うん!」
「マレ子ちゃんマレ子ちゃん!」
母親であるアイが笑顔を見せると子供達は元の様子に戻りせかせかと食事を始める。
「一体今のは……」
不信感を抱きながらもそのまま食事をする。
「気のせいだろう」
今日も何もなく、普通の日常が始まるはずだった……
「……」
カランと1人子供が箸を落としたのが合図にさっきまで騒いでいた子供達が途端に黙る。
「どうした?みんなして急に……おい!?」
1人がイスごと横に倒れ
「おかあ……さ……」
母親を呼ぶことも出来ずに力尽きた。
「おい!」
慌てて自分のイスを蹴飛ばしながらも子供達に近寄るアイ。
「ぎゃぁぁぁああああ!こわい……こわいよ!何か来る!あ……」
続けて2人目もイスから転げ落ち何かに怯えるように空を見て恐怖で便を出しながら電源が落ちたように死ぬ。
「な、何が起こって」
「お母さん」
何が起こっているか困惑して動けないアイに最後の1人の子供が声をかける。
「お前は……大丈夫なのか?」
元アバレー騎士とは思えないほどのか細い声で希望を抱いて問いかけた、だが、解答は絶望だった。
「産んでくれてありが」
ボンッ
小さな破裂音と共に子供の頭が爆発し、周りにピンクの液体と血を飛び散らせた。
「あ、ぁぁあ……」
そして最後に
「!?」
アイのお腹の中がボコボコと活発に動いた後、急にアイのお腹が軽くなって、出口からは何か液体が出て来たのがアイに伝わって来た。
「あぁ……あ……あああああああああああああああああぁぁぁぁあああああああああぁぁぁぁああああああああぁぁぁぁあああああああああああああああああああ」
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