第364話 人魚討伐依頼は難しい

 《グリード王国 王室》


 「《人魚討伐》?」


 『そうよ、【勇者】様』


 グリード城に来たリュウト達は《王国会議》であったことを聞いたあと女王から直接依頼を受けた。


 「人魚ってあの体の半分が人間で体の半分が魚で食べたら不老不死になるっていうあの?」


 『流石ですわ勇者様、そこまで知ってるのですね』


 「もう、この世界に来て何年も経つからな、元の世界と似てるところが多いのは慣れた」


 『それは頼もしいですわね、だけどこちらの世界では人魚はおとぎ話のような存在です』


 「あー......えっと、言い方が悪かった、こっちでもそんな感じ」


 『あら?そうですの?』


 「なんだろう、寧ろこっちの世界では普通に居るのかと思ってた」


 『私も勇者様程のとんでもない力がある世界なのでそちらに普通に居るのかと......まぁいいです、その人魚の目撃情報がアバレー王国で多発してます』

 

 「なるほど......魔王の管理を失った人間の国は野放しにしておけないって事か......タイミングを考えると《人魚》がその魔族っていうのに当てはまる?」


 『そうですわ、リュウト様が倒した【キャンサー】は魔族を持たず知能の低い魔物達を従えて居ましたが』


 「女王様、俺「達」だ......俺一人の力なら勝てなかった......」


 『申し訳ありません、そのみゃさんの事は......』


 「良いんだ、あの時は仕方なかった。だけど俺たちの旅はあそこでおわりじゃなかったんだな」


 『はい......【キャンサー】が従えてたのは魔物でしたがアバレーを管理していた【ジェミニ】は鏡の世界でゴルゴーン、そしてミクラルを管理していた【スコーピオ】は吸血鬼の魔族を従えてたと報告されております』


 「どちらも空想上かと思われてた存在、確かに、今回の人魚も似たような系統だから調べる価値はあるな。」


 『はい』


 「わかった、俺たちは今すぐアバレーに行く、貴重な情報ありがとう、女王様」

 

 『いえ、もうひとつ頼みたいことがあります、どれでもいいので人魚を一匹捕獲してきてもらって良いですか?』


 「?、どうして?」


 『私達はまだ相手側の情報を知りません、なのであちら側の情報を知るために聞き出すためです』


 「............確かに、そうだが......わかった、できるだけ頑張ってみるよ」


 『ありがとうございます♪それと例の件は......』


 「悪いけど、心は変わらない、......俺はもう心に決めた人が居るんだ」


 『......』


 「その人は、いまもどこかに囚われてるはず、俺はあの人を助け出す。いつまでもどこまでも。」


 リュウトは目を閉じて思い出す。

 いつも捕まってる可憐なヒロインを......その癖にいつもふらっと出てきては突然また居なくなる。

 

 「俺はあの人を愛してるから」


 『ふふ、それはその人に伝えてあげてください、では、グリード王国の女王、サクラからの依頼です。』



 『アバレー王国へ行き、人魚の討伐をしてください』


 「承りました、では、他の部屋に待機してるアカネとあーたんと一緒に行ってきます」


 そういってリュウトは王室を出ていき、サクラ女王は一人になった。





 『キャハッ♪「食べたら不老不死になる」って?そんなの初耳なんだけどなぁ♪そっかそっかぁ......それは楽しみね♪』





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー






 「とは、言ったものの......まったく手がかりがないまま何日もたってしまったなぁ」




 あれからリュウト達はアバレーにすぐ来たが、状況はまったく進んでいなかった。

 水場に現れると言うからアバレーのとある泉に来てそこを拠点にはってるのだがまったく収穫はゼロだ。


 「ご主人様見てみて!お魚つれた!」


 泉で釣りをしていた雪のような白い髪にウサギ耳を生やした獣人は二メートルある《ホワイトカール》を魔法で浮かせて持ってきた。


 「お、いいぞあーたん、そいつは今日の夜飯だ」


 「えー、またー?」


 「文句言うなら釣りをするな、せめてキャッチアンドリリースだ」


 「きゃっちあんどりりーす?」


 「釣ったら生きてるうちに泉に返すことだ」


 「うん!わかったー!あーたん、きゃっちあんどりりーす!する!だから釣りまだしてていい?」


 「はいはい、行ってこーい」


 「はーい!」


 そのままあーたんはホワイトカールをキャンプの中に持っていった、その中には食材用の転送魔皮紙が置いてあるので転送させにいったのだろう。


 「にしても......ここ最近飯が魚魚魚魚魚って......あーたんの釣り好きには勘弁してほしいな、せめてアカネが帰ってきたら魚の塩焼きだけじゃなく料理してくれるだろうに」


 現在アカネは人間嫌いが多い獣人の町に情報を集めに行ってもらってる。

 何日も帰ってきてないところを見るとあちらも新しい情報がないのだろう。


 「はぁ......けつかっちんだなぁ」


 その時、リュウトは背後から気配がして警戒する。


 「誰だ!」


 暗い森林からでてきたのは


 「。。。。。。よう」


 「ここに居たんだ、リュウトボウズ♪久しぶり、ミー達を覚えてる?」


 「ヒロユキ!ジュンパクさん!」


 リュウトに会いに来た二人だった。



 

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