第362話 黒ベルドリ ヒロユキ
黒ベルドリにユキが付いていき20分。
「(あれ?ここは最初の洞窟?です?)」
ユキ達は最初の洞窟に戻ってきていた。
「......クルッポー」
「くぁ?」
「(壁の岩に文字が刻んでるです......えーっと、「まきこんですまない」......もしかしてこのベルドリさんは!)」
黒ベルドリはユキを真っ直ぐ見て黙っている、そして壁の文字......最初は書かれていただろうけどパニックになって見逃していたのだろう。
ユキは周りをキョロキョロとして枝をもってきて揃えて文字をつくる......「オニイサン?」と。
黒ベルドリは文字が作られたのを見て頷いた。
「くぁーーー!」
ユキはベルドリの身体でヒロユキに抱きつこうとするが羽が前に出ないので身体をスリスリする。
「(わーーー!お兄さんお兄さんお兄さん!ユキは一人じゃなかったです!)」
「......クルッポー」
ユキからすると自分が無理矢理ついてきてこうなったので巻き込まれるもどうこうもない......それ以前に「自分の事を知ってる人」「事情を知ってる人」「頼れる大人」が居るという嬉しい感情でまた泣きそうになる。
「くぁーくぁー」
「......クルッポー......」
ヒロユキベルドリは少しして洞窟の奥に歩いていくがユキベルドリはまるでコバンザメのようにくっつき歩きづらそうにしてる。
そして洞窟の奥にはガラクタがいっぱい置いてあった。
「(わーーーなんかいっぱいあるです)」
森をかけまわり冒険者の死体や落ちていたものをヒロユキが集めたものだろう。
ヒロユキは自分の足にくくりつけたナイフをくちばしで取って近くの石の上に置き、ガラクタの中から片手サイズの使い古された砥石をもってきてゆっくり......本当にゆっくりとナイフを研いでいく。
「......」
「くぁ♪」
ユキは身体をヒロユキにくっついてそれを見ている。
今まで相当恐かったのだろう、何回も泣き、何回も寂しい思いをした......だが全てヒロユキが来てくれて近くにいてくれたのだ、これがどれだけユキにとって心に響いたか......
「くぁー......ムニャムニャ」
だが、ヒロユキが先程から同じ行動をしていて眠くなってきたのかそれとも安心から来たのかユキはそのまま足をたたんでお団子になってその場で寝た。
「............」
ヒロユキは横目でそれを見て無言でボロボロの布をかけてまた隣で砥石作業に戻る......
「..........................................」
ヒロユキは研ぎながら考える......魔物など非ではない......この状態で遭遇したくない最悪の相手が来たときの事を。
その日、よほどユキは疲れていたのか次の日の朝までぐっすり寝ていた......
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
《ミクラル王国》
「。。。。。。ジュンパク、準備は出来たか?」
「え?う、うん!兄貴!出来てるよ!でもどうしたの?いきなり急ぎでリュウトのボウズに会わなきゃいけないなんて?」
「。。。。。。秘密だ、そう言えば他のやつは?」
「え?えーっと......ユキの姉貴はあの日夜兄貴が連れてきた子を送り届けるのに数日かかるとかで居なくなって、たまこはしばらく調べることがあるみたいで別行動、ボーッとしたユキナはほとんどいない友達に会いに行くとかで元々別行動......まぁでも会いに行くだけならミーだけでも大丈夫だよ!」
「。。。。。。頼りにしてるよ」
「う、うん」
ジュンパクはあの日の夜からヒロユキに違和感を覚えていた......それこそ、飲みすぎたのでその日は酔ってるのだろうと思ってたのだが。
「(兄貴......なんか違う)」
しかし、ジュンパクに確認するすべもなく、そのままいつも通りに対応していた......
「。。。。。。じゃぁ行くぞ」
「うん!ミーがギルドに手続きしといたよ!行こっか!」
「アバレー王国へ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます